自民党と公明党は12月16日、2016年度の税制改正大綱を決定した。二転三転した軽減税率は、対象品目を「酒類及び外食を除く飲食料品」「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」とすることで決着。消費税10%が始まる2017年4月より適用される。
軽減税率は公明党が増税による痛切感を和らげ、低所得者の暮らしを守るという名目で導入を訴えていた。当初は対象品目を「生鮮食品」に限定し4000億円の財源が必要としていたが、「加工食品」が加わったことで1兆円に拡大。そこで政府は、他の給付金などを削減して財源を確保する動きに乗り出したようだ。
「低所得世帯の3人目以降の子ども支援」も的外れと批判
このあおりで廃止が決定したのは、なんと「子育て世帯臨時特例給付金」(子育て給付金)だ。2014年4月に消費税8%に伴い、所得が一定以下の子育て世代に対する給付金で、1333万人の子どもを対象に2015年は1人あたり3000円支給された。
とはいえ、この廃止で捻出できる予算は約400億円。6000億円の捻出には焼け石に水だ。この決定には、ネットでも「なんでそこから削るの?」と疑問の声があがっている。そもそも消費税の増税自体が社会保障費の充実目的だったのに、本末転倒だというのだ。
「あのー、消費税って、福祉を充実させたいから増税するってずーーーーーっと言ってたよね?すごいむかつくんだけど」
「結局チョロチョロっと配っておしまいだったね。微妙~」
「子供を産める環境を!と言うのにやってる事逆!!!」
このような批判に配慮したのか、政府は低所得世帯への教育支援策として「3人目以降の子どもの幼稚園や保育園の保育料を2016年度から全て無料とする方針を固めた」と報じられている。しかしこの方針も、まったく的外れと評する声が圧倒的に多い。
ガールズちゃんねるには、低所得者は「第1子すら難しい」のが現状であり「子どもゼロの家庭が『一人産もうか』ってなる対策をしてほしい」という要望が噴出している。「共働きで330万以下(保育園の保育料無料の条件である)で子ども3人いる家庭が日本に何世帯あるのか教えてほしい」と疑問視する声もみられる。
「子育てを切って高齢者に回す」は誤解とは思えない
これだけ子育て世代の気持ちを逆なでする決定を重ねながら、自民党の合同部会は17日、低所得の年金受給者に3万円を支給することを決定している。この決定については自民党内部からも批判があるようで、各種報道には、こんな発言が取り上げられている。
「なんで高齢者ばかりにやるんだと若い世代は思う。世代間闘争にしないほうがいい」
「子育てを切って高齢者に回すという間違ったメッセージを国民に与えることになる」
この政策にかかる予算は3600億円以上。有権者が受け取るのは、あながち「間違ったメッセージ」ともいえないだろう。ネットには「ふざけてるとしか思えない」と憤る声のほか、「年寄りに給付金をばらまくのは選挙のため。年寄りくらいしか選挙に行かないからね」と諦めるような書き込みも見られた。
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