2015年12月18日 08:51 弁護士ドットコム
別居中や離婚後も、子どもと暮らしていない側の親には、子どもと会う「面会交流」が認められています
ところが、「子どもを連れて行った配偶者が、子どもと会わせてくれない」といった相談は後をたちません。
弁護士ドットコムの法律相談コーナーには「離婚する際、月に1度の面会交流をすると決めました。離婚して会えたのはたったの1度だけ。3歳の娘にそれ以降、一度も会わせてもらえません」といった相談が寄せられました。
また、面会交流を拒否する側から「浮気した元配偶者に、どうして子どもを会わせなければいけないんですか?」という質問もありました
「面会交流」とはどんな制度なのか。そして、もし配偶者から拒否されてしまった場合、どのようにすれば我が子に会えるようになるのか。大和幸四郎弁護士に詳しく解説していただきました。
A. 裁判所から元配偶者に「勧告」をしてもらいましょう。
離婚をして離れて暮らすことになった親にも、子どもと会う権利は認められています。これが「面会交流」です。
基本的に面会交流は、子どもにマイナスの影響を与えるなど正当な理由がない限り、拒否することはできません。これは、子どもと同居している親も、離れて暮らしている親も同様です。
とはいえ実際は、子どもと暮らしている親が、面会交流を拒むケースは少なくありません。そのような場合、まず、家庭裁判所から元配偶者に、面会交流を行うよう求める通知を、書面などで送ることができます。
ただし、通知に強制力はありませんので、無視された場合はそれまでです。
次なるステップは、家庭裁判所に、面会交流の調停の申し立てをすることです。相手が面会交流を拒む理由が、「頻度や時間が合わない」などであれば、調停の場で再度調整することができます。
とはいえ、相手が面会交流を全面的に拒否し、調停にすら出てこない場合は、ほとんど意味をなしません。
第三のステップが、「履行勧告」という方法です。家庭裁判所から元配偶者に、電話などで「子どもと会わせるように」と勧告してもらう方法です。もっとも、「勧告」ですので、強制力はありません。
履行勧告までしたのに、それでも子どもに会わせてくれない・・・。そのような場合の最終手段が、「間接強制」という方法です。
家庭裁判所から元配偶者に「面会交流に応じない場合は、一回の拒否につき●万円を支払え」と命じてもらうことで、間接的に面会交流を強制しようというものです。ただし、裁判所の執行官が子どもを強引に連れて来るわけではありません。
それでも無理だった場合、元配偶者に、慰謝料を請求することが考えられます。過去にあったケースでは、離婚調停で月一回の父親(元夫)との面会交流圏を決めたのに、これを無視した母親(元妻)に対して、慰謝料五〇〇万円の支払いを命じた例もあります。
面会交流では、両親の間での「会いたい」「いや、会わせたくない」という感情的なやりとりが発生しがちですが、あくまでも面会交流の権利は子どもにあり、主役は子ども自身です。
円満な面会交流が行われることをお祈りしています。
【取材協力弁護士】
大和 幸四郎(やまと・こうしろう)弁護士
佐賀県弁護士会。2010年4月~2012年3月、佐賀県弁護士会・消費者問題対策委員会委員長。現佐賀大学客員教授。借金問題、刑事・男女問題など実績多数。元「西鉄高速バスジャック事件」付添人。
事務所名:武雄法律事務所
事務所URL:http://www.takeohouritu.jp/