メルセデス優勢の状態はF1にとって痛手であるとの見解に対して、メルセデス・モータースポーツのトト・ウォルフが「過去を美化すべきではない」と反論した。
メルセデスのルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグは、新しい技術規則が導入された2014年シーズンから38戦中32勝を挙げ、ハミルトンは2年連続でタイトルを獲得。ウォルフはメルセデス「一強」状態が、F1にとって痛手になり得ることは認めながらもマニュファクチャラーを非難することは間違っていると主張した。メルセデスの好調は彼らが自らの利益のみを追求していないことを証明しているという。
ウォルフは英国オートスポーツに対して「2014年や2015年のように、ひとつのチームが優勢なことはF1にとって良いことか? 良くはないが、歴史的に見れば、いつだってそうだった。だから問題は『私に何ができるか』というところだ」
「我々は最終的にF1という競技が強力なものになることを期待している。過去がどれだけ素晴らしいものであったにせよ、美化するのはやめるべきだ。これまでの出資者の多くは我々が前進してきたことや“製品”には開発が必要であることを忘れているように見える」
「たとえば、メルセデスは来季のエンジン開発範囲を狭めようなどとはしていない。もし我々が純粋な日和見主義の強硬派であったなら、そうしたかもれないが、しなかった」とメルセデスとしての姿勢を語っている。
インディペンデント・エンジン案が却下されたあと、F1総責任者のバーニー・エクレストンは「特にフェラーリとメルセデスが大きな力を持ちすぎている」との私見をBBCに語り、攻撃的な姿勢をとっている。しかしウォルフは、現在のメルセデスが1994年にザウバーと組んでF1に復帰、1995年にマクラーレンとエンジン供給契約を結んでから長期的にF1に参戦していることはメルセデスがF1に忠実であることの証明だと言う。
「我々はF1の忠実なパートナーだ。この競技に23シーズン連続で参戦し、F1に信頼性を与えるブランドのひとつでもある。F1がどこへ向うべきかという適切な議論や、変更についても取り組んでいく」
「メルセデスは、インディペンデント・エンジンがF1の向うべき方向性ではないという自分たちの主張を貫いた。それがバーニーを苛立たせたのかどうかはわからないが、何かが彼の気にさわったんだろう。バーニーは議論が好きだ。ときにメディアに対して裏切りのような発言をすることもあるが、私はそれを受け入れるよ」