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ジャニーズJr.・高田翔、なぜ演技で売れっ子に? “元気がないアイドル”の強み

2015年12月16日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』公式サイトより

 先日、最終回を迎えたフジテレビ『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』(毎週火曜22時から)と、読売テレビ『青春探偵ハルヤ』(毎週木曜23時59分から)の2本にレギュラー出演を果たしたジャニーズJr.の高田翔。グループとしてデビューこそしていないものの、高い演技力が評価され、2015年にはスペシャルドラマも合わせて5本に出演するなど、その活躍はデビュー組に引けを取らない。そんな高田翔はどういう特性を持った俳優なのか、過去の出演作などから掘り下げていきたい。


参考:ジェシー、安井謙太郎、高田翔……俳優として才覚を見せる、ジャニーズJr.の注目株5人


 ジャニーズ事務所に入所する2007年までは別の芸能事務所に所属しており、劇団四季ミュージカル『ライオンキング』のヤングシンバ役を演じた経験を持つ高田。2008年には、あさのあつこ原作の野球を題材にした小説『バッテリー』のドラマ化にあたって、同事務所ですでにデビューを果たしている中山優馬がピッチャー役で主演をつとめる一方、高田は準主演としてキャッチャー役に起用されている。野球少年の役作りのため丸刈りにし、その後はジャニーズ恒例の運動会でもそのキャッチング力を見せつけた。以来、『ほんとうにあった怖い話』(2008)や『仮面ティーチャー』(2013)など、テレビドラマや映画、舞台への出演が続いている。ジャニーズタレントでありながら俳優一筋で活躍する姿は、先輩にあたる生田斗真を連想させることから、『第2の生田斗真』とも呼ばれ、注目を集めている。


 2012年に出演した学園モノの連続ドラマ『GTO』では、IQが高い頭脳派の寡黙な生徒役を演じ、セリフが少ない分、表情に変化をつけて難しい役柄をものにしていた。学園ドラマということもあり、学生の視聴者が多く、若い世代にその存在を印象付けた作品といえよう。一方、2013年に出演した昼ドラ『天国の恋』では、髭面でしどけない雰囲気を醸し出し、年上女性を好む、人懐っこく単純な性格の青年を好演した。ラブシーンもこなしたことで、主婦層など大人の視聴者にも役者としての力量を示すきっかけとなった。この2作品が高田翔の演技力を広く知らしめたといって良いだろう。


 そんな高田翔だが、ジャニーズ入所当初から演技のみで仕事をしてきたわけではない。過去には、若手のジャニーズグループや、ジャニーズJr.が出演する『ザ少年倶楽部』でダンスや歌を披露したり、滝沢秀明主演の舞台『滝沢革命』や『滝沢演舞城』、ジャニーズが主演を務め、ジャニーズJr.も多数出演しているミュージカル『PLAYZONE』にも出演経験がある。しかし、本人いわくダンスや歌はそれほど得意ではないようだ。2015年10月22日に放送された日本テレビ『ダウンタウンDX』にゲスト出演した際には、「踊りもやらず、バク転もしない」と話しており、「東京ドームは広くて、走るのがしんどい」と、ジャニーズらしからぬ発言もあった。MCを務めるダウンタウンの浜田雅功から「やめてしまえ! もうええわ!」と言われ、同じくゲスト出演していた小籔千豊からは「覇気がない!」と喝を入れられるほど、高田にはいわゆる“アイドルらしさ”が欠けているのだった。しかし、そんな”元気がない”姿が、いかにもジャニーズ的なギラギラ感とかけ離れているからこそ、ファンは親近感を覚えるようである。


 さらに、ファンの間では雑誌などで見せるくしゃっとした笑顔も好評である。そんな笑顔が多く見られるのが、今季クールドラマで出演中の2作品だ。両作とも、明るくお調子者でおっちょこちょい、憎めないキャラクターを演じており、その特徴的な笑顔をたっぷりと堪能できる。似た雰囲気を持つ二役ではあるが、『サイレーン』では刑事役、『青春探偵ハルヤ』は学生役と明確な違いもある。『サイレーン』では個性的な刑事に囲まれる分、キャラクターを抑えて場面に馴染んでいるが、『青春探偵ハルヤ』では主役のハルヤ(玉森裕太 Kis-My-Ft2)の親友であり、ハルヤの探偵業にも加担するなど出演機会が多く、冷静で頭が良いハルヤとは対照的でキャラクターが引き立っている。最終回直前の第9話では、おばあちゃん想いで一途な一面も見せ、お調子者で臆病な普段とは一変、ハルヤとぶつかるシーンもあった。しかし、自分からカッとなったにも関わらずオロオロしてしまう様子や、言いたいことを言い放った途端、その場からドタバタと逃げ出してしまうなど、「こういう人、いる!」と思わせる要素が多数含まれており、共感した視聴者も多いはずだ。


 ジャニーズらしからぬ肩の力が抜けた高田翔だからこそ、どこにでもいそうな似た雰囲気を持つ二役を、細かな違いで見事に演じ分けられるのだろう。また、物語をかき回す三枚目キャラは、あらゆる作品に必要なポジションでもある。高田が実力派の役者として、ジャニーズタレントの枠を越えた活躍を見せてくれる日は近そうだ。(小島由女)