ジャガーの名がモータースポーツシーンに帰ってくる。15日、同社はFIAの電気駆動フォーミュラカー選手権、フォーミュラEに2016年の第3シーズンからワークス参戦することを正式発表した。
イギリスの名門は、ジャガー・ランドローバー(JLR)が初めて生産する電気自動車において、フォーミュラEのテクニカルパートナーであるウイリアムズ・アドバンスト・エンジニアリングと協力関係を築いている。
彼らは、フォード傘下の2000年からジャガー・レーシングの名称でF1に参戦したが、2004年を最後に撤退してからはワークス体制でのモータースポーツ参戦はない。
ジャガーは、2016/17シーズンからの撤退を表明したトゥルーリ・チームによって空いたエントリーを引き継ぐことになるが、チーム自体は新たに設け、4台の新シャシーと独自開発のパワートレインで参戦するという。
「革新的なフォーミュラEへの参戦をもって、ジャガーがモータースポーツ界への復帰を本日発表することができ、とても誇りに思っている」と、JLRのグループ・エンジニアリング・ディレクター、ニック・ロジャースが語っている。
「電気自動車は、ジャガー・ランドローバーの将来の製品ポートフォリオにおいて、重要な役割を果たす存在であることは明らかだ。フォーミュラEは、電気自動車技術をさらに発展させる貴重な場となり、極限の性能条件下で当社の先進技術のエンジニアリングやテストをすることができる」
「今後5年間で自動車業界に起こる変化は、これまでの30年間をはるかに上回るものになるだろう。将来的には、よりコネクテッド(接続性)でサステイナブル(持続可能性)な世界になり、都市化とともに電化技術と軽量化技術の重要性はますます高まっていく。フォーミュラEはこのような情勢を的確に捉え、エキサイティングで先駆的なアプローチをしており、この姿勢はジャガー・ブランドに完全に合致する」
JLRのレースチームは、フォーミュラEにバッテリーを供給するウイリアムズ・アドバンスト・エンジニアリングからサポートを受けるが、パワートレインのデザインやシミュレーションなどの開発作業は、およそ8300人規模の強力なエンジニアリング部隊が担う。
気になるドライバーラインナップとチーム名、そして正式なマシンカラーリングについての詳細は決定していない。
ジャガーチームのディレクター、ジェームズ・バークレーは、伝統のブリティッシュ・グリーンを復活させる考えを問われると、ブランドの財産を検討していることを認めている。
「フォーミュラEによる復帰が素晴らしいのは、モータースポーツに馴染みのない多くの人々を前にレースができることだ」
「過去の成功を知っている人々に、我々の新しい時代を告げることができる」
「確かに我々は過去に対して敬意を払っている。しかし、どんなカラーリングとチーム名で参戦するかを正式に明かすにはもう少し待たなければならない」
ジャガーは、ル・マン24時間で7度の優勝を飾るなど、その歴史上で4番目に成功したメーカーで、1984年のヨーロッパ・ツーリングカー選手権と1991年の世界スポーツカー選手権も制している。