2015年12月15日 06:51 弁護士ドットコム
夫のことは好きだけど、あの姑がいるから結婚生活はもう続けられないーー。ネット上には、そんな嘆きがあふれています。
弁護士ドットコムの法律相談コーナーにも「姑と同居していますが、毎日のように嫌味を言われ、夫も一切フォローしてくれません。姑から慰謝料も取って離婚したいんですが、可能でしょうか?」との相談が寄せられました。
増田 勝洋弁護士に詳細な解説をしていただきました。
A. 配偶者の親族との関係が悪いだけでは難しい
当事務所で離婚の相談を受ける際にも、いわゆる嫁と姑との関係は、しばしば「離婚の原因」として出てきます。
姑からの暴言やいじめ、嫌がらせに耐えられないことを理由に離婚訴訟を起こした場合、離婚は認められるのでしょうか?判断のカギは、民法770条の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるかどうかです。
この点、離婚できるかどうかということは、本来あくまで、夫婦間の問題です。
単に配偶者の親族との折り合いが悪いという程度では離婚は認められません。実際、親族との関係が悪くて離婚が認められているケースというのは、「夫が親族と一緒になって妻を虐待している」とか、「夫が親族の側に立って妻をないがしろにしたことで、夫婦関係が悪化した」といった事情がある場合がほとんどのようです。
つまり、離婚が認められるかどうかは、夫との関係がポイントになるということです。ご相談者の場合も、夫が姑と一緒になって暴言を浴びせていたり、いじめなどをしていれば、離婚は認められるでしょう。
一方、そうではない場合は、まずは妻から夫に姑の行いを具体的に伝えて相談し、姑と別居して距離を置くなどの対処を検討するべきです。
「夫に相談しても、何もしてくれない」と、はなから諦めず、まずは話してみることで、問題が解消する可能性があります。しかし相談した結果、夫の対応が悪ければ、そのような夫の態度を理由に離婚を求める、という順になると思います。
ご相談者は、姑から精神的苦痛を受けたとして、慰謝料を取りたいとも考えているようです。姑の暴言やいじめがひどければ、訴訟を起こして、姑に直接、慰謝料の請求をすることが可能です。
ただし、精神的苦痛を受けたからといって、絶対に慰謝料請求が認められるとは限りません。いじめと一口に言っても、その程度や内容は様々です。
慰謝料請求が認められるためには、姑の暴言やいじめが、誰の目から見ても常識の範囲を超えた違法な行為といえる必要があります。どれだけひどい仕打ちを受け、それによってどのような精神的苦痛を被っているか、ことあるごとに日時、場所、具体的な内容を、きちんとメモしたり録音するなどして、客観的な証拠を残しておきましょう。こうした証拠がなければ、慰謝料請求は難しいと思います。
【取材協力弁護士】
増田 勝洋(ますだ・かつひろ)弁護士
大阪弁護士会、平成二六年度大阪弁護士会常議員、司法委員会副委員長、司法修習委員会委員
著書:『事例にみる遺言の効力』(共著、執筆担当)
事務所名:増田法律事務所
事務所URL:http://www.masuda-law.net/