ハローワークの求人票が、実際の労働条件とは異なっていた――。求職者からハローワークなどに寄せられたそんな苦情や相談が、2014年度で約1万2000件にのぼったことが厚生労働省のまとめで分かった。前年度を3割も上回ったという。
ただし厚労省の担当官によると、「求人票より低い賃金で働かされた」「始業時刻よりも早い出社を求められた」といった食い違いが実際に確認されたのは、相談件数の36%。他は「企業側の説明不足や労働者側の誤解によるもの」も多かったという。
「正社員と聞いて応募したのに非正規」というケースも
求人票の記載内容は、実際の労働条件と同じであることが望ましい。しかし実際は、面接などの場で労使双方が納得したうえで、新たな条件で雇用契約が締結されることもありえる。このため最終的に締結した内容に疑問を持った求職者が、問い合わせたケースもあるようだ。
その一方で、最初から求職者を騙すことを目的としてウソの求人票を出す企業もある。このため厚生労働省は、2014年3月から求職者からの苦情などを受け付ける「ハローワーク求人ホットライン」を設け、該当企業に対して事実確認と必要な指導などを行っている。
周知用のリーフレットには次のような例示があり、実際に同様の相談や苦情があるようだ。
「面接に行ったら、求人票より低い賃金を提示された」
「求人票と違う仕事の内容だった」
「正社員と聞いて応募したのに、非正規雇用の形態だった」
「採用の直前に、求人票にはなかった勤務地を提示された」
「始業の30分前に出社させられている」
「ありとなっていた雇用保険、社会保険に加入していない」
この問題については、12月13日付け河北新報の社説が「『求人詐欺』とも指摘される虚偽の記載が、ハローワークの場で堂々と流通する現実は放置しておけない。事態を重く見て、早急に監視と対策強化に取り組むべきだ」と強く主張している。
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