2015年12月13日 07:01 弁護士ドットコム
交際相手や配偶者に、自分の裸の写真を撮らせてしまった。あるいは交際相手から性的な写真を送ってもらったーー。そんな経験がある方は、珍しくないかもしれません。
弁護士ドットコムの法律相談コーナーにも、「元交際相手が、出会い系サイトに、私の裸(局部含む)の写真を載せています」、「15年前に離婚した元旦那と撮影した性交渉の動画を、無修正アダルトサイトで発見しました。私の実名と顔もアップで」など多くの相談が寄せられています。
このようなネットへの投稿は「リベンジポルノ」として、刑事罰が科されることをご存知の方も多いかと思います。では、「元カレが、私の裸の写真を、元カレの友人たちに見せている」という場合でも、「リベンジポルノ」に該当するのでしょうか?
「元カレと交際中、軽い気持ちで携帯に『裸の写真』を送りました。ところが別れた後、元カレが友人に写真を見せているようです。自業自得なのですが、元カレを訴えたいです」という方からの相談について、清水陽平弁護士に詳細な解説をしていただきました。
A. 民事でも刑事でも訴えられる。「友人に写真を見せた」証拠が不可欠。
まず初めに、「訴える」と言っても、民事と刑事の二種類の訴え方があることをご存知ですか?
簡単に言うと、民事は、元カレに損害賠償請求や画像の削除を求めることです。いっぽう、刑事は、元カレの行為を刑事事件として処罰をすることです。
結論から言うと、まず、民事で訴えることは可能です。裸の写真の公開は、一般的に、プライバシー侵害と同時に名誉権も侵害すると解釈されます。したがって、プライバシー権や名誉権を理由として、損害賠償や画像の削除を求めていくことができるでしょう。
ただし、裁判所に訴えるためには、相手の住所をきちんと知っておくことと、友人たちに写真を見せていた証拠を事前に揃えておくことが必要不可欠です。
友人に見せていることの証拠がないと、訴えても、相手に「そんなことはしていない」と否認される可能性が高いためです。証拠としては、たとえば写真を受け取った友人の証言などでもよいですが、後でやはり協力できないなどと言われないように、協力してくれる時点で文書に残すなど証拠化しましょう。
では次に、刑事で訴えられるか考えてみます。個人としてできるのは、警察に対して告訴をして、犯人を起訴するように要請することです。
告訴をするためには、その人の行為が刑法に抵触していなければなりませんが、今回のケースは、名誉毀損やいわゆるリベンジポルノ防止法に抵触する可能性があるため、告訴は可能でしょう。ここでも裸の写真を見せているということの証拠が重要です。
ちなみに、リベンジポルノ防止法が規制するのは、写真をインターネットに公開したり、EメールやLINEなどで他人に提供している場合のほか、画像を多数の友人に見せている場合も含まれます。
他人に写真を渡す際には、相手が自由に利用・処分できる立場になることをきちんと理解した上で渡すべきです。一度渡してしまえば、あとで脅しや嫌がらせの材料に使われるかもしれません。
他人に見られて困るような写真は、「撮らない・撮らせない・渡さない」ということを徹底すべきです。
すでにリベンジポルノの被害に遭っている方は、画像などが拡散してしまう前に、掲載先のサイト運営者に削除を求めるなど、早急に対応を進めましょう。自分で削除することが難しければ、弁護士のほか、法務局の人権擁護局などに相談してみてもよいと思います。
【取材協力弁護士】
清水 陽平(しみず・ようへい)弁護士
インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、Twitterに対する開示請求、Facebookに対する開示請求について、ともに日本第1号事案を担当。2015年6月10日「サイト別 ネット中傷・炎上対応マニュアル(弘文堂)」を出版。
事務所名:法律事務所アルシエン
事務所URL:http://www.alcien.jp