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泣かせるラブソングで人気上昇中 藤田麻衣子がリスナーの心を掴むワケ

2015年12月10日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

藤田麻衣子

 12月9日(水)放送の「THEカラオケ バトル 最強女子ボーカリストNO.1決定戦」(テレビ東京系)に、シンガーソングライターの藤田麻衣子の出演が決定した。藤田は今年5月に放送された同番組の“泣ける名曲グランプリ”編にも出演。惜しくもグランプリは逃したもののゲストや観客を大いに泣かせ、「最優秀泣ける歌唱賞」を受賞し、存在感を発揮した。今回の放送では、元劇団四季の看板女優やタカラジェンヌに混じって沢田知可子の名曲『会いたい』を披露するとのことで、どんなパフォーマンスを見せるか早くも注目が集まっている。


 2014年3月にシングル『涙が止まらないのは』でメジャーデビューした藤田麻衣子。インディーズで活動していた数年間には、47都道府県でフリーライブを行うなど地道な活動でファンを増やしてきた。その集大成となる日本武道館での弾き語りでは8000人を動員。その8割が女性ファンだったという。


 彼女のライブで特徴的なのは、歌を聴いて涙する観客の多さ。ライブのたびに、集まったファンを泣かせることから、“涙活”(意識的に泣くことで心のデトックスを図り、ストレスを解消させることを目的としたイベント)で話題となり、「涙活のカリスマ」 「涙活の女王」等と称されることもある。中でもインディーズ時代の代表曲『手紙 ~愛するあなたへ~』は泣けると評判で、現在、ウェディングソングの新定番として広く知られるようになっているほか、人気ボーカリストのクリス・ハートが自身のカバーアルバムに収録したほど。藤田麻衣子=“今、一番泣かせるアーティスト”と言っても過言ではないだろう。


 なぜ彼女の楽曲が、こんなにもたくさんの共感を呼ぶのか。その理由は彼女の歌唱力、そして表現力にある。まずはその透明感あふれる歌声。のびやかで耳触りのいい声は聴いていて心地よいばかりか、不思議とすっと心に入ってくるような安心感がある。誰もが経験したことのある人生のワンシーン、感じたことのある想い、それらをシンプルな言葉で綴った詩も藤田の楽曲の魅力のひとつ。聴き手を選ばず、普遍的な音楽の良さを追求してきたことが、多くのファンを魅了する所以だ。


 先日リリースされたニューアルバム『恋愛小説』でも、その姿勢は健在。さらに本作は、収録されている全12曲それぞれがさまざまな恋の局面を描いたものとなっており、これまで以上にラブソングのテイストが強まっている。たとえば、アルバムのリード曲でもある『you』は、別れた恋人への諦めきれない想いを歌ったバラード。〈消えない 消せないよ あなたに触れて 感じた温もりも幸せも 好きなの どうしても あなたの声も仕草も全部〉と、切々と歌い上げる藤田の声を情感あふれるピアノ伴奏が彩り、サビではドラマチックなストリングスが絡む。このほか、友人との三角関係を描いた『カモフラージュ』、将来を誓い合うふたりの心を女性目線で綴った『家族になれる人』など、どれもリアルな情景が浮かぶ楽曲ばかり。本作を機に、“泣ける”だけではない、ラブソングマスターとしての新たな評価も獲得しそうな勢いだ。


 1月23日(土)には、アルバム発売を記念した弾き語りライブの開催を予定。これまで数多くのステージに立ってファンを増やしてきたことからも、藤田の真骨頂はライブでこそ発揮されると見て間違いない。果たして今回はどのような“伝説”が生まれるのか。新たな歌姫の誕生を心して見守っていきたい。(文=板橋不死子)