レッドブルF1チームは4日、2016年にルノーが供給する『タグ・ホイヤー』ブランドのパワーユニットで新シーズンを戦うことを正式発表した。
メルセデスAMGとルイス・ハミルトンが独走で制した2015年シーズンをある意味最も揺るがしてきたレッドブルの来季パワーユニット問題がついに決着をみた。
チームはこの日、ルノーと交わしていた従来のパワーユニット供給システムとは異なる新たなパートナーシップとして、同社が供給するパワーユニットのネーミングライツをタグ・ホイヤーが取得する契約を発表。今季、ルノーに単発で協力していたエンジンチューナーのイルモアがより関与を深めることも明らかになった。
またタグ・ホイヤーとは、チームの公式計時および公式腕時計、パフォーマンスパートナーとして2016年からの複数年契約を結んだことも発表。新車の正式名称も「Red Bull Racing -TAG Heuer RB12(レッドブル・レーシング - タグ・ホイヤーRB12)」となる。
「タグ・ホイヤーとレッドブルは、レースに対する情熱と違ったやり方で物事に取り組むふたつの卓越したブランドだ」と、レッドブル・レーシング代表のクリスチャン・ホーナーは語っている。
「タグ・ホイヤーはF1の世界で長年にわたって象徴的な存在だった。彼らが、我々との協力でこのスポーツとの関係継続を選んでくれたことを喜んでいる」
「ルノーがF1に長期のコミットメントを確約したこともうれしく思っている」
「2007年以降、彼らのチームに対する貢献には感謝したい」
「彼らとイルモアとの技術的な協力は我々に信頼を与えてくれる」
「2016年のシーズンを楽しみにしているよ」
この合意は2016年1月1日に正式にスタートする。
■これまでの経緯
ハイブリッドシステムを搭載するパワーユニット規則が導入された2014年以降、ルノー製パワーユニットの低い信頼性とパフォーマンスに強い不満を募らせていたレッドブルは、次第に彼らへの批判を公然と繰り返すようになり、ついには2016年末まで結んでいたルノーとの契約を前倒しで解除。共に2010年から4年連続でドライバーとコンストラクターの両選手権を制した長年のワークスパートナーと袖を分かつことを一旦は決めた。
しかし、彼らが代わりに求めたワークス仕様のパワーユニットは、レッドブルの高いシャシー性能を警戒するメルセデスとフェラーリに断られ、その後打診したホンダもチームのワークスパートーナーであるマクラーレンが拒否権を発動。行き場をなくしたレッドブルは撤退も辞さないなど脅しをかけるようになった。
結局、レッドブルは再度ルノーとの交渉を開始。供給の契約をとりつけ、そこにマクラーレンから奪う形となったタグ・ホイヤーのブランドをエンジンバッジとして採用することを決めた。