12月3日放送のNHK「おはよう日本」が「中年フリーター」を取り上げていた。就職氷河期時代に就職できなかった人の多くが、アルバイトやパート、派遣や請負など非正規労働者として働いている。
同世代の正社員と比べると給与額が少なく、社会保険への加入率も低い。「就職氷河期」世代に当たる35~54歳の非正規労働者は2000年から増加し、273万人にのぼった。番組は都内在住の38歳の男性の生活に密着していた。
41歳で見事正社員に採用されたケースも紹介されたが
この男性は都内有名大学を卒業したものの、希望した就職先には就職できず、卒業後は引っ越しやビラ配りなどのアルバイトで食いつないできた。正社員としての勤務経験はなく、就職活動は続けているが現実は厳しい。
こうした中年フリーターは「未来の生活保護受給者」とも言われ、社会保障の大きな負担となることが予想されている。これを受けて東京都では、30~40代の非正規雇用者を対象とした就職訓練を開始している。
3か月間にも及ぶ訓練は、制限時間内に新聞記事を要約してプレゼンテーションするなど実践的なトレーニングで、受け身や指示待ちなどの非正規労働者の体質改善を促している。企業訪問訓練も行い、希望している職種以外の幅広い職種に目を向けるよう促す。
さらに都の負担で、企業側に「中年フリーター」の採用を勧める取り組みも行っている。41歳の坂本さんもこの取り組みで、試用期間1か月を経て正社員として採用された。採用担当者は、
「(仕事を)覚えてもらうのに時間がかかるが、向上心を持って働いてくれる」
と高く評価している。しかし、こうした中年世代を雇用する企業はごく稀で、やはり若い人材を求める企業が圧倒的に多いのが現状のようだ。
「企業側に中高年の採用を強く働きかけないと解決しない」
この番組を見ていた視聴者からは、中年フリーターのスキルが低いことを本人の責任にしている部分が納得いかないという声もあった。また、40代で採用してくれる企業がない限り、いくら研修でスキルを磨いても無駄ではないかという意見もある。
「中年フリーターが正規社員でないのは本人のせいではなく、会社が正規社員として雇うお金がないだけではないのか? それだったら、いくらその人に求職者訓練をしても意味がないのではないだろうか?」
「ああいうセミナーで教えられるのはビジネスマナーや心構えぐらいで、優先的に職業をあっせんしてくれる訳じゃない。(略)企業側に中高年の採用を強く働きかけないと解決しない」
なお中年フリーターについては、10月24日のNHK「週刊ニュース深読み」でも取り上げられていた。バブル崩壊直後には、正社員の月給20万円に対し、フリーターでも17万円は稼げており、この時点では「問題」はあまり認識されていなかった。
しかし15年が経過して40代の半ばにもなると、正社員が34万円に昇給するのに対し、中年フリーターは20万円程度。今後年齢を重ねると、この差は更に広がることになりそうだ。
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