企業でのストレスチェックが義務化され、従業員のメンタルヘルス管理が重要視される中、「モンスター社員」をうつ病に罹患させて退職に追い込む方法を指南する社労士ブログが、物議を醸す事態となっている。
筆者は、社労士の木全美千男氏。「モンスター社員を解雇せよ! すご腕社労士の首切りブログ 」というブログを運営しており、11月24日付けで「社員をうつ病に罹患させる方法」という記事を更新した。
「モンスター社員に精神的打撃与えることが楽しくなりますよ」
エントリーはQ&A形式となっており、「上司に逆らう」「遅刻する」「タバコさぼり」といったモンスター社員に悩む企業が「なんとかうつ病にして会社から追放したいのですが、いい方法ありますか。もちろん会社が法的に責任取らなくていい方法に限ります」と質問する。
木全氏は、まず社員に罰を与える根拠を就業規則に盛り込むことを指導。この場合は「上司に文句を言うことの禁止」「遅刻の禁止」という具合だ。その上で禁を破った社員に反省文を書かせる。
ただ、その反省文は普通のものではない。ノートに自分の過去の失敗や、他人に迷惑をかけたこと、悲しかったことを思い出せるだけ書き出させ、その事柄に対して、自分に非があるように関連付けて書かせる。
「うつ状態というのは自分を責める病気なので、後悔の量が多ければ多いほど(過去に否定的な執着する程)発症し易いです」
そして、万が一社員が自殺したときのために、うつの原因と死亡の因果関係を否定する証拠を作っておく。裁判では自殺の因果関係の立証は原告側にあるので、それを否定する証拠があれば、会社の帰責事由を否定することになると説明。「したがってそれができればうつ病自殺されても裁判で負けることはありません」と力説する。
もっとも、本当にうつになりそうになったら「休職命令与えてもいいでしょう。休職満了による退職でも可能でしょう」とも書いている。「モンスター社員に精神的打撃与えることが楽しくなりますよ」とのことだ。
木全氏「パワハラと指導はもともと微妙な一線」
木全氏はあくまでも「適切にして強烈な合法パワハラ与えましょう」と書いているが、社員を意図的にうつ病にさせるというのは怖ろしい。ネットでも物議を醸し、はてなブックマークでは「普通に解雇しちゃダメなのかこれ……」「こわい」「これはあかんやつや」と震撼するもののほか、
「上司に逆らう、遅刻、タバコさぼりってのは死に値する罪じゃないよねいくらなんでも。そのくらいで人を死に追いやるのが平気なの? あまつさえ楽しめるの?」
といった声が挙がった。ネットでは「炎上狙いの釣りブログじゃないのか」という見方もあったが、一体どうなのだろうか。キャリコネニュースの取材に対し木全氏は、
「誤解を受ける内容だったかも知れないが、会社に迷惑をかけている人間にダメージを与えて真人間にしたい、立ち直って欲しいというのが真意です」
と説明する。従業員に精神的ダメージを与える「合法パワハラ」に関しては「パワハラと指導の違いはもともと微妙な一線」とコメント。「厚労省は(パワハラを)過大に考えている。みんなの前で叱るぞ、と事前に伝えておけば、みんなの前で叱るのだって当たり前です」と語る。
ネットで話題になっていることは、記者が伝えるまで知らなかったが、ブログでは特に釈明するつもりはないといい、「憲法では言論の自由が保障されている。特定の誰かを誹謗中傷したわけでもないですし、自分の考えを書いただけです」と話していた。
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