2015年の最後のF1テスト「ピレリ合同テスト」が12月1日にアブダビGPが行われたヤス・マリーナ・サーキットで朝9時から12時間に渡って行われている。
このテストはメディアの立ち入りを禁止し、非公開で行われている。したがって、詳細はピレリのテストレポートを待つしかない。
しかし、どんな内容のテストメニューが組まれているのかは、メディアや一般の人たちだけでなく、チーム関係者にも事前に知らされていない。というのも、このテストはブラインド・テストで行われることになっているからだ。
ブラインド・テストとは、テストするスペックをテスターにも明らかにしないまま、そのインプレッションを聞き取る手法で、F1のタイヤテスト以外にも多くの分野で採用されている手法だ。
今回のピレリ合同テストの主な目的は、2016年に導入される市街地専用のコンパウンドであるウルトラソフトのパフォーマンスだ。したがって、ピレリはアブダビに何種類かのプロトタイプ(試作品)のウルトラソフトを持ち込んでいる。しかし、それぞれのスペックがどのチームにいつ配布されるかは、チーム関係者ですら、わからないという。
ウルトラソフトというのは、コンパウンドのことだが、ピレリはこのテストにフロントとリヤともに、新しいコンストラクション(構造)も投入している。これは今年8月のベルギーGPでタイヤがバースト(破裂)するという問題を起こしていたため、コンストラクションを見直して、タイヤのブローを抑制する狙いがあると考えられる。
ブラインド・テストを行うにあたり、ピレリは各チームに「日曜日のレースで使用したセッティングのままでテストしてほしい」というリクエストを出しており、チーム側は12月1日の12時間テストの最中は、自由にセッティングを変更できない。もちろん、新しい空力パーツを使用することもできない。
つまり、チーム側はピレリが指定するセッティングで、ピレリが配布したタイヤを、ピレリが決めた周回数走ることになっている。メディアをシャットアウトして、非公開でテストを行っている理由は、そのためである。
したがって、テスト後にそれぞれのチームのベストタイムが公表されるだろうが、そのタイムがどのような状況で出されたのかは、おそらくわからないままだろう。
ピレリのテストレポートを待ちたい。
(尾張正博)