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F1アブダビGP分析:SSのショートスティントが勝負の鍵か

2015年11月29日 19:11  AUTOSPORT web

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ポールポジションからスタートするロズベルグ。3連勝なるか
今季最終戦を迎えたF1アブダビGPの予選は、またしてもニコ・ロズベルグが王者ルイス・ハミルトンを抑え、見事6戦連続のポールポジションを獲得しました。

 2戦連続のポール・トゥ・ウインで勢いに乗るロズベルグと、通算50回目のポール獲得を狙ったハミルトンの最後のバトルはセクター2とセクター3でファステストを記録したロズベルグに軍配。特に低速セクションのセクター3ではコンマ3秒の差が開き、その差がほぼそのまま両者のタイム差につながる形となりました。
 ロズベルグは、1回目のアタックで記録したセクター1のファステストを合わせ、3セクターのすべてで最速タイムを記録。圧勝と言える戦いぶりでした。

 予選後のコメントでも「今は僕の方が速い」と言い放ったロズベルグに対し、再びチームメイトに敗れたチャンピオンは以前から口にしていたシンガポールでのセットアップ変更が解消されていないと不満を漏らしています。確かに、今週末のハミルトンはステアリングの不調を訴えたり、予選前のフリー走行でも何度かスピンを喫する場面がみられました。理由はどうあれ、今季圧倒的な速さで王座に就いたハミルトンが現状のマシンを乗りこなせていないのは確かです。

 ただし、ロズベルグにもエンジンの耐久性という懸念材料があります。パフォーマンス面での差はほとんどありませんが、今回かなり走りこんだエンジンを搭載するロズベルグとしてはパワーサーキットでもあるヤス・マリーナの55周を耐え切らなければなりません。終盤にパワーセーブなどの必要に迫られれば、より厳しい戦いも覚悟しなければならないでしょう。

 舞台となるヤス・マリーナは2本のロングストレートにそれぞれDRSポイントが設置されているのでオーバーテイクのチャンスもありますが、初日のロングランデータではロズベルグに分があると考えられます。特にソフトタイヤでのラップタイムはロズベルグが抜群の安定感を披露しています。
 タイヤサプライヤーのピレリは、スーパーソフトで10周弱のショートスティントをこなし、後続の2スティントをより耐久性のあるソフトタイヤで走りきる2ストップ戦略が主流になると予想しています。ハミルトンとしては、自身のカーナンバーと同じ建国44周年のアブダビで通算44勝目を手にするためにも、ロズベルグが安定して速いラップを刻んだソフトではなく、序盤のスーパーソフトでチームメイトを早めに攻略したいところ。最も望む展開としてはスタートで先行することでしょう。

 後続の3番手争いでは、フェラーリのミスによりセバスチャン・ベッテルが16番手スタートとなり、3番グリッドを獲得したキミ・ライコネンと予選ベストグリッドの4番手につけたフォース・インディアのセルジオ・ペレス、そしてロングランでフェラーリに迫る速さをみせた5番手レッドブルのダニエル・リカルドらによる争いとなりそうです。

 注目はペレス。金曜のロングランではブレーキのトラブルに見舞われ、チームメイトのニコ・ヒュルケンベルグもあまりいいペースで走れていませんでしたが、ペレスのタイヤマネージメントには定評があります。ピレリの予測ではさすがに1ストップの可能性はどこにも記されていませんが、VJM08のストレートスピードを活かしたトップチームとのバトルにも期待が高まります。

 幻想的なトワイライトレースとなる2015年の最終戦アブダビGPの決勝は、今夜22時(日本時間/現地時間17時)スタートです。