3月に開幕した2015年のF1もいよいよシーズンの最終戦アブダビGPを迎えました。今年一年を締めくくる最後の一戦、果たしてどんな戦いが繰り広げられるのでしょうか?
昨年はルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグによるタイトル決着の舞台になるなど非常に張り詰めた雰囲気のなか行われましたが、今年はハミルトンの王座を含めて主要な選手権順位がほぼ決まっているため、金曜最初のフリー走行(FP1)では独自のプログラムや、来シーズン用のテストパーツを試すチームが多く見受けられました。
しかも、アブダビGPは予選と決勝が午後5時(現地時間)開始のトワイライトレースとなるため、午後の早い時間に実施されるFP1と土曜のFP3は予選・決勝とコンディションとはかなり異なることから、データ的にもそれほど参考にならないという側面があります。
しかし、午後5時から行われたFP2ではいつも通り予選・決勝を見据えた作業が進められ、セッション後半は各陣営とも十分なロングランを実施。今回、ピレリが持ち込んだソフトタイヤとスーパーソフトタイヤで多くの周回数を重ねています。
その中で今回もメルセデスAMGの2台がいつも通りの速さを見せましたが、彼らを含む多くのドライバーがスーパーソフトでフロントタイヤのグレイニングに悩まされることになりました。スーパーソフトを履いたメルセデスの2台は最初の入りこそ1分46秒台でしたが、3周目以降は周回毎にペースが下落。ロズベルグの8周平均は1分47秒655で、これはキミ・ライコネンの1分47秒390(8周)、ダニール・クビアトの1分47秒615(6周)に次ぐ3番手のものでした。
2ストップ作戦が予想される決勝では、おそらくスタートタイヤとなるスーパーソフトが短い第1スティントを走ることになりそうですが、そこでのペースと1回目のピットストップをどのタイミングに置くかが、中盤以降のレース展開を左右する要因となりそうです。
一方、レースのメインタイヤと予想されるソフトタイヤはメルセデス勢、特にロズベルグが1分46秒台を並べる好ペースを披露。彼が記録した平均ペースは1分46秒841(6周)で、もともとデグラデーション値の低いヤス・マリーナのコース特性も相まってタイムの落ちもほとんど見られません。これは他のチームも同様ですが、2番目に速かったフェラーリのベッテル(1分47秒096/6周)とロズベルグの平均タイム差はコンマ2秒あり、レッドブルのダニエル・リカルド(1分47秒403/6周)もメルセデスからはコンマ5秒以上の開きがあります。
ちなみに4番手以下はウイリアムズ(バルテリ・ボッタス:1分48秒055/6周)、ロータス(パストール・マルドナド:1分48秒858/6周)、トロロッソ(マックス・フェルスタッペン:1分49秒050/6周)。
ただし、ロズベルグが今週末搭載しているパワーユニットは今回が7レース目というかなり走り込んだユニットで、「ストレートでのパワーは少し劣っている」と彼自身も語っています。パワーサーキットのヤス・マリーナには2本の長いロングストレートがあるので、ロズベルグとしてはこの点が懸念されます。ハミルトンは一発のタイムに関してもまとめきれていないので、やはりロズベルグにとってはハミルトンが最大のライバルとなりそうです。
来季のタイトル奪取に向けて3連勝でシーズンを締めくくりたいロズベルグと、チャピオンの意地があるハミルトン、両者の争いは最後まで目が離せません。
その他では、セルジオ・ペレスが3番手につけたフォース・インディアにも期待。彼が3番手タイムを記録した時間帯は、フェラーリやレッドブルよりもラバーがのったセッション中盤の遅いタイミングでした。ソフトタイヤの平均ラップタイムは1分49秒495(セルジオ・ペレス:6周)とそれほど良いものではありませんでしたが、ふたりのコメントからは自信も伺えるので予選では上位争いに食い込んでくる可能性も秘めています。
最後にマクラーレン・ホンダですが、FP2のベストタイムではフェルナンド・アロンソが9番手タイムをマーク。特にテクニカルセクションのセクター3ではフェラーリとフォース・インディアの4台よりも速いタイムを記録しています。レースでは厳しい戦いが予想されますが、予選ではなんとかQ3進出を果たしてもらいたいところです。