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アレジと後藤久美子さんの長男、ジュリアーノがGP3デビューへ

2015年11月28日 17:41  AUTOSPORT web

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GP3テストへの参加が決まったジュリアーノ・アレジ(左)と父親のジャン・アレジ(右)
元F1ドライバーのジャン・アレジと後藤久美子さんの長男、ジュリアーノ・アレジがアブダビGP終了後に当地で行われるGP3のテストに参加することが関係者への取材で明らかになった。

 今季フランスF4選手権に参戦し、開幕戦のレース1とレース3(1大会3レース制)で、いきなり優勝して周囲を驚かせたジュリアーノ。その後ナバーラで開催されたスペイン大会のレース1で優勝したものの、今シーズンは3勝にとどまった。しかし上位陣の多くが同シリーズに2年以上参戦の経験を持つ状況ながら、1年目で選手権4位という成績に関係者からの評価も高い。

 だが、今回のジュリアーノの決断はモータースポーツ関係者にとって驚きだった。現在16歳のジュリアーノが本格的にカートをスタートしたのは13歳のとき。その2年後にF4選手権に挑戦し、そこを1年で卒業後、F3というステップを踏まずに、いきなりGP3へ参戦するのは珍しいルートだ。ジュリアーノが今年ドライブしていたF4のエンジンは1.6リッター160馬力。F3は2リッター210馬力に対して、GP3は3.4リッターV6という大排気量で馬力も400馬力のハイパワーとなり、操縦も難しくなる。

 ジュリアーノ本人も「GP3はF4とは違ってハイパワーなので、より繊細なドライビングが重要になる」と語っており、テストに先立ってイタリアのダラーラのファクトリーへ赴き、シミュレーターに乗ったという。「シーズン中は、まだGP3へ挑戦することは考えていなかった」と言うジュリアーノが、ここに来てGP3を選択した理由に、F1を見据えたプランがあることは想像に難くない。現在GP3はF1に最も近いカテゴリーと言われているからだ。

 GP3初代チャンピオンはエステバン・グティエレスで、2代目がバルテリ・ボッタス、そして4代目がダニール・クビアト。近年ではGP2よりもF1ドライバーを多く輩出している。ジュリアーノの父親であるアレジは「まだF1を語るのは早い。最低でも2年ここで経験を積ませたい」と言うものの、今回の選択がF1を意識したものであることは間違いない。

 さらにGP3はF1グランプリのサポートレースである。GP3へ挑戦すれば、F1が開催されるサーキットの多く(2015年シーズンは9カ所)を経験することができる。

 12月2日から3日間行われるGP3テストで、ジュリアーノがドライブするのはイギリスのアーデン・インターナショナルとスイスのイェンツァー・モータースポーツ。GP3参戦が正式に決定したわけではないが、正式発表まで遠くはないだろう。

(尾張正博)