世界ラリー選手権(WRC)にMスポーツから参戦したオット・タナクが来季Mスポーツを離れ、中国のタイヤブランド“DMACK”がサポートするチームからWRCに参戦すると報じられている。
タナクは今季速さをみせる場面もあったものの、クラッシュも多くドライバーズランキングで10位と低迷していた。また、来季についてはMスポーツに留まるものの、チームメイトのエルフィン・エバンスとマシンをシェアすることになるという報道もなされていた。
今回、タナクの移籍先として名前が挙がったDMACKはWRC2クラスにタイヤ供給を行っているほか、ドライブDMACKとして同クラスへ参戦。ヤリ・ケトマーを起用し、今季はランキング6位を獲得している。英AUTOSPORT.comによれば、DMACKは以前からWRCへの関与を深めたい意向を示しており、来季はフォード・フィエスタRS WRCで最上位クラスへ挑戦。ドライバーはタナクとケトマーの2名を起用するという。ただ、同チームは来季のシリーズ全14戦には参戦せず、一部ラウンドのみの参加になる。
MスポーツやDMACKからタナク移籍に関する正式な発表は行われていないものの、このドライバーラインナップの変更はMスポーツのWRCチーム改革の第1歩とみられている。またMスポーツのマネージングディレクターを務めるマルコム・ウィルソンは、来週行われるラリー・モンテカルロへ向けたテストまでには2016年シーズンのドライバーラインナップが確定するだろうと述べている。
ウィルソンはシーズン終了直後からタナクへの批判を強めており、タナクの母国であるエストニアのメディアに対し、「リザルトだけで判断すると、満足いく結果とは言えない」とコメントしていた。
「終盤2戦でオットが起こした2度のクラッシュは、来季のラインナップを決める判断材料としてプラスには働かなかった」
また、ウィルソンはタナクの集中力についても厳しい意見を述べている。
「ドライバーを可能な限りリラックスさせることが重要で、オットは専属トレーナーを帯同させていた。しかし、彼は安定して実力を発揮できるように一層努力するべきで、馬鹿げたミスもなくさなくてはいけない」
「しかし、それ以上に重要なのは集中力だ。例えばセバスチャン・オジェの集中力は素晴らしく、彼が今年犯したミスは1回だけだ。あれだけのスピードを維持しながら1度しかミスをしないということは、彼がとても高いレベルで集中力を維持し、走行中はステージを走りきることだけを考えているということだ」
Mスポーツは来季のWRCプログラムについて策定を進めているが、シトロエンと同様に2016年シーズンはフル参戦しない可能性もあるとウィルソン。仮にMスポーツがフル参戦しない場合、シリーズ全戦を戦うのはフォルクスワーゲンとヒュンダイの2メーカーのみとなる。
「シトロエンの判断は十分に理解できる。全14戦というカレンダーが発表される前から、2017年に向けたマシン作りに全力を注ぎたいと考えていた」
「現時点ではなにも決まっていないし、フル参戦したい意志はある。だから、今のところ来シーズンにマニュファクチャラーとしてエントリーしないとは言わないよ。ただ、シトロエンが選んだ方法も検討に値するとは思っているんだ」
2016年シーズンのWRCと開幕戦モンテカルロへのエントリー締切日は12月18日となっている。