DTMドイツツーリングカー選手権が来季からの新エンジン導入を遅らせたとしても、スーパーGTとの交流戦は開催可能ではないかとの見立てを、BMWモータースポーツのイェンス・マルカルト代表が示した。
DTMとGT500クラスは、統一車両規定となる『クラス1』を2017年から導入することで合意している。昨年からすでにモノコックなど多くの部分で同等の車両規定が採用されているが、エンジンに関しては、現在のところGT500では2リッター直4直噴ターボエンジンが採用されている一方、DTMでは4リッターV8自然吸気エンジンが使用されている。
このエンジンについても、クラス1規定では4気筒ターボエンジンを採用すると発表されている。しかし今年10月に入って、DTM側がこの新エンジンの導入を2019年まで延期する可能性が取り沙汰されはじめた。
そんな中、BMWモータースポーツを率いるマルカルトは、仮に予定より共通エンジンの導入が遅れたとしても、17年後半に日本で、そして18年前半にドイツで予定されている統一戦の開催は可能ではないかとの考えを明らかにした。
「我々は常々、スーパーGTとDTMに、レースフォーマットの点で若干の違いがあることを話していた。DTMは、40分と1時間のスプリントレースとして開催されている。一方日本では、給油もあり、最大6時間にも及ぶレースを開催している。すべてが異なるんだ」
「要するに、(DTMを運営する)ITRと(SGTを運営する)GTAが回答を出せるかどうかだと思うよ。我々はイベントをともに開催することができるのか、そしてどんなフォーマットになるかという点でね」
「技術的な面から言えば、これまで常に議論を重ねてきて、クルマやすべてのバランスをとる必要があることは分かっている。フォーマットでかなりの数の異なる点があるから、間違いなく簡単な作業ではないけどね」
またマルカルトは、エンジンが共通でないことよりも、タイヤが統一戦での大きなファクターになるのではないかと話す。というのも、ハンコックタイヤのワンメイク(コンパウンドも一種類)となっているDTMに対し、ご存知の通りスーパーGTはミシュラン、ブリヂストン、ヨコハマ、そしてダンロップの4社が激しいタイヤ戦争を繰り広げている
「我々のフォーマットは単一のタイヤだが、こうした短いレースは、タイヤマニュファクチャラーたちの開発がある中で開催されている選手権とはまったく種類が異なる」
「タイヤからは大きな向上がもたらされるんだ」
「統一戦を運営するためには、誰かが何かを見つける必要がある。ただ、GTAとITRが本当に開催可能だと考えていて、実現することになったら、私はそれを尊重するよ」
なお、DTMの新エンジン導入延期の報道を受けて、GTAの坂東正明代表は渡欧しDTM側と協議。「背中合わせになっているわけではなく、(コラボに向けての)話し合いは続いている」とした上で、「11月くらいにはドイツ側と一緒に、プレスの方に発表できる形を取りたいと考えています」と語っていた。