F1委員会は、FIAとバーニー・エクレストンの提唱する安価な“クライアントエンジン”の導入案を否決した。ただし、現行のマニュファクチャラーに対してパワーユニットに関する解決案を提出するよう求めた。
2014年から導入された1.6リッターV6ターボユニットはカスタマーへの供給価格がおよそ2000万ユーロ(約26億円)とかなり高額で、現在メルセデスやフェラーリ、ルノーから供給を受けるプライベートチームをはじめ、F1界全体にとっても懸念材料となっている。
そのためFIA会長のジャン・トッドは、これらの価格を1200万ユーロ(約16億円)まで削減する方針を打ち出したが、これにフェラーリが拒否権を行使したため、現行ユニットと同等のパフォーマンスを保証する、より安価なクライアントエンジンを2017年から導入する計画を打ち出した。
今月はじめ、FIAはクライアントエンジンを供給する単独サプライヤーの選定手続きを開始。エンジンマニュファクチャラーからの関心を募ったところ、イルモアとAERを含む4社から“信頼ある”表明がなされたほか、長年ルノー・スポールとの関係でF1に関与していたメカクロームも供給の意志を示したと報じられた。その一方で有力な候補と考えられていたコスワースは、適するエンジンがないとの理由でアプローチを行わなかったことが分かっている。
しかしながら、24日にパリで開かれたストラテジー・ミーティングでは、クライアントエンジンの導入案が一旦否決されたことが分かった。
ただし、現在パワーユニットを供給する各マニュファクチャラーには、FIAと協力してパワーユニットに対する懸念を解決するため、以下について2016年1月15日までに解決案を示すことが求められた。
・チームに対するパワーユニットの供給の保証
・カスタマーチームに対するパワーユニット価格の減額
・パワーユニットの技術仕様の簡略化
・エンジン音の改善
FIAは、各マニュファクチャラーからストラテジー・グループに対して何らかの解決案が示されなければ、今回否決されたクライアントエンジンの導入案を再考する可能性があると付け加えている。
その解決案には、すべてのチームがエンジンを入手でき、各マニュファクチャラーが供給しなければならないチームの最小数を明記することが含まれる。
なお、クライアントエンジンへの表明を示したマニュファクチャラーとFIAは、今週末のアブダビGPで初の会合を開くことになっている。