ピレリのモータースポーツディレクター、ポール・ヘンベリーは、2016年にはF1タイヤの“崖”をある程度復活させ、レースを活性化させたいと語った。
ピレリは当初、予測不能なレースにするため、デグラデーションが高くプッシュし続けていくと急激なパフォーマンス低下が訪れるタイヤを用意していたが、2013年にはタイヤバーストなどのトラブルが相次いだ。2014年の新パワーユニット導入に伴い、ピレリはコンパウンドを硬くし、今年はリヤのコンストラクションを強化した。それ以来タイヤの耐久性が高くなり、今年は1回ストップが主流のレースが頻繁に見られるようになった。
しかしこれは好ましいことではなく理想は2、3回交換を行わなければならない状況であると以前からヘンベリーは述べていた。
「ある程度の“崖”を復活させたい」とヘンベリーが最近語ったとF1iが報じた。
「アブダビでのテストの際に、完璧なソリューションを探す機会が十分あるかどうかは分からないが」
「いくつかアイデアがある。アブダビの後、それが機能するかどうかが分かるだろう」
「理想としては“崖”を復活させたい。そうすれば2回から3回交換が主流になる。この2年は長いスティントを走ることが可能だった」
ヘンベリーは、タイヤ内部の化学成分を変更することで、“崖”の復活を実現できると考えている。
「ある種の“崖”を作り出すため、タイヤ内部に何か工夫ができるかもしれない。化学的な対処によって、長いスティントを走ることが不利になる」
さらにピレリはスーパーソフトよりさらに軟らかい“ウルトラソフトコンパウンド”を来季導入することを決めており、このタイヤは12月1日のアブダビタイヤテストにおいて初めて試される。
「これはストリートサーキット用だ。現状では1回ストップで走り切ってしまうことが可能だ。そのためもっともっとソフトなタイヤを導入し、少なくとも2回ストップが必要になるようにしたい。このタイヤはシンガポールとモナコ、もしかするとメルボルンでも使用するかもしれない」
ロータスのロマン・グロージャンは、ある程度デグラデーションの高いタイヤが望ましいと発言している。
「2012年と2013年にはデグラデーションが高く、グリップを失って不利な状況になりやすかった。後ろを走るマシンはそこからチャンスを見つけることができたんだ。でも今はかなり安定している」
フォース・インディアのセルジオ・ペレスは、今よりもっとソフトなコンパウンドを採用すべきだと述べた。
「タイヤに関してもっとアグレッシブなアプローチをとるべきだ」とペレスが語ったとCrash.netが伝えている。
「ショー的要素も戦略の幅も増やしたい。僕に有利に働くかどうかは別として、誰もがもっと活発なレースを見たがっているはずだ。もっとソフトなコンパウンドにすれば、そういう方向に行くだろう」