メカクロームがF1クライアントエンジン供給に関心があることをFIAに対して表明した。すでにイルモアとAERも応募の意志を示したことが分かっている。
現在のF1パワーユニットの価格は非常に高く、カスタマーの金銭的負担が大きい。これを懸念したFIAは価格制限を科そうとしたが、フェラーリに阻まれた。そのためFIAとF1商業面を取り仕切るバーニー・エクレストンは、現行の1.6リッターV6ターボパワーユニットに加えて新たな仕様の安価な“クライアントエンジン”を導入するという計画を立ち上げた。
この安価なスタンダードエンジンは、2.5リッター以下で、エネルギーリカバリーによるパワーは利用せず、650kW/900bhp弱を生み出すものにすることが検討されている。
FIAは2017年から2019年にこの安価なエンジンを供給する単独サプライヤーを選ぶための手続きをスタート、マニュファクチャラーからの関心の表明を募った。23日に募集が締め切られ、AERとイルモアが関心を示し、うわさされていたコスワースは適するエンジンがないということでアプローチを行わなかったことが分かっていた。
さらに24日、Motorsport.comは、メカクロームもFIAに対してクライアントエンジン供給の意志があることを示したと報じた。
メカクロームは長年ルノー・スポールとの関係の中でF1に関与してきた経験を持つ。
メカクローム・グループのレーシングアクティビティーズディレクター、ジャン-シャルル・ライラは、比較的短期間で新F1エンジンを用意できると語った。
「数カ月前に2016年以降のGP3エンジン供給契約を結んだ。このエンジンは3.4リッターV6だ」とライラ。
「2017年以降のGP2シリーズへの供給契約も結んだ。これは3.4リッター・ターボV6だ」
「FIAの提案で求められているのは最大2.5リッターのエンジンだ。我々のエンジン開発のベースはFIAの要求に完全に対応している」
「リソースとキャパシティに関しては全く問題ない。メカクロームでは6カ月のうちにエンジンの構想を立て工業化するという作業が行われている。我々にとっては計画期間は十分余裕がある」
インディペンデントエンジンを供給し続けることが経済的に可能かという問題に関しては、ライラは、2チームと契約できれば採算が取れると述べている。
「その面では他より我々の方がハードルは低いと思う。すでにいい基盤が用意されているからだ。もちろん開発作業は必要だが」
「我々の評価では、少なくとも2チームに供給できれば経済的利益が見込め、FIAが定める目標を達成できる。2チーム4台というのが我々の評価の結果だ」
「メカクロームが他と異なるのは、我々は非常に長い間、F1に関与してきたということだ」
「これまで大規模なプログラム多数を並行してうまく行ってきた。それだけの人的・技術的リソースを持っているのだ」