NASCARスプリントカップ・シリーズは22日、ホームステッド・マイアミ・スピードウェイで今季最終戦となる第36戦の決勝レースが行われ、カイル・ブッシュ(トヨタ・カムリ)が優勝。カップ・シリーズで自身初のタイトルを獲得するとともに、トヨタ陣営にとっても初のシリーズ制覇となった。
終盤10戦で争われるチャンピオン決定戦“チェイス”。残り10戦の時点で16名に絞られたチャンピオン候補者たちは、3戦ごとに下位4名が脱落していき、今回のホームステッド戦にタイトルの権利を残して挑んだのは、ブッシュ、ケビン・ハービック(シボレーSS)、ジェフ・ゴードン(シボレーSS)、そしてマーティン・トゥルークスJr.の4人。この中で最上位につけたドライバーがチャンピオンという条件で、ホームステッド戦を迎えた。
20日に行われた予選では、デニー・ハムリン(トヨタ・カムリ)がポールポジションを獲得。2番手にジョーイ・ロガーノ(フォード・フュージョン)、そしてブッシュが3番手に続き、タイトルコンテンダーの中では予選最上位につけた。
降雨により1時間30分ほどディレイしてスタートした267周の決勝レース。ブッシュは序盤から上位を走行し、ゴードン、そしてディフェンディングチャンピオンのハービックとバトルを展開する。その後、ゴードンはポジションを落としていくこととなったが、ブッシュとハービックは最後まで上位でバトルを続けていった。
ブッシュは残り14周の時点で3位につけ、4位のハービックには9秒ほどの差をつけていたが、残り11周でイエローコーションに。各車ともピットへ向かい、ブッシュが2番手、そしてそのすぐ背後の4番手にハービックという並びで、残り7周のリスタートとなった。ブッシュはここで首位に躍り出ると、ハービックも負けじと2番手続く。しかし、ペースに勝るブッシュが徐々に差を広げていき、トップでチェッカーを受けた。
「信じられない! ついに人生の夢が叶った」と喜びを語ったブッシュ。彼は今シーズン、エクスフィニティ・シリーズの開幕戦でクラッシュし負傷。スプリントカップでも、開幕戦から第11戦まで欠場することとなった。しかし、復帰後のシーズン中盤には、第16戦から第20戦の5戦で4勝を飾るなど驚異的なリザルトを残し、その後、チェイス進出に必要なランキング30位以内という条件もクリア。サバイバルのチェイスで勝ち残り、デビューから12年目にして悲願の初王座を獲得した。また、2007年からシリーズに参戦しているトヨタにとっては、参戦9年目の初戴冠となった。
「今年は様々なことがあったけど、妻、そして支えてくれた全ての人たちとともに戦い続けてきた。このタイトルはその全ての人たちのおかげだ。本当に長かった。今夜の僕たちのマシンは本当に速かった。トヨタ、クルーチーフ、スポンサー、そしてファンの皆さんに感謝したい。最高だ。夢が叶ったよ」
レースでの2位にはハービックが入り、惜しくもシリーズ2連覇はならず。3位にブラッド・ケゼロウスキー(フォード・フュージョン)が入った。一方、今季で引退を表明しているゴードンは、最終的に6位に。トゥルークスJr.は12位でこのレースを終えている。