アドバンスト・エンジン・リサーチ(AER)が、FIAが2017年から導入することを検討している新たな“クライアントエンジン”計画への関心を正式に表明したことを明かし、その理由を語った。
現在のパワーユニットの価格は非常に高く、カスタマーの金銭的負担が大きい。これを懸念したFIAは価格制限を科そうとしたが、フェラーリに阻まれた。そのためFIAとF1商業面を取り仕切るバーニー・エクレストンは、現行の1.6リッターV6ターボパワーユニットに加えて新たな仕様の安価な“クライアントエンジン”を導入するという計画を立ち上げた。
この安価なスタンダードエンジンは、2.5リッター以下で、エネルギーリカバリーによるパワーは利用せず、650kW/900bhp弱を生み出すものにすることが検討されている。
FIAは2017年から2019年にこの安価なエンジンを供給する単独サプライヤーを選ぶための手続きをスタート、マニュファクチャラーからの関心の表明を募った。23日に募集が締め切られ、AERとイルモアが関心を示し、うわさされていたコスワースは適するエンジンがないということでアプローチを行わなかったことが分かっている。
イルモアとAERは新F1エンジンのベースとなり得るものを持っている。イルモアはインディカーのV6エンジンを製造しており、F1ではレッドブルと提携関係を結んでいる。AERは長年スポーツカー、特にアメリカン・ル・マンで活動を行い、最近ではLMP1のプライベーターに協力。2013年にはGP3のエンジン契約、今年はインディライツの4年契約を結んだ。
FIA会長ジャン・トッドとエクレストンは、火曜午前に行われるストラテジーグループ会合で、この新エンジンに関する提案を推し進め、午後に行われるF1コミッション会合でもこの問題が議論される見込みだ。
AERのマネジングディレクターであり共同オーナーのマイク・ランカスターは、同社はFIAの要求に応えるエンジンを提供できると自信を示した。
「(FIAが)求めているエンジンを我々は持っている。そのため大きな関心を抱いている」とランカスター。
「長年GDi V6エンジンを開発してきた。これはハイレベルな現代モータースポーツに適応するよう作られ、対出力比燃料消費量を下げることに重点を置いたものだ」
「つまり彼らが求めているものとぴったり合ったエンジンを作っているわけだ。彼らは非常にパワフルで、燃費がいい、現代のレーシングエンジンを求めている」
「求められるパワーに関しては、我々のエンジンは楽にこれに対応できるし、必要ならもっと引き上げることもできる」
「そうなるとマイレージに影響があるだろうが、可能かどうかでいえば可能だし、素晴らしいサウンドも生み出すだろう」
ランカスターはAERは2017年にF1エンジンを用意することは可能だと述べている。
「我々は可能であると考えている。すぐにダイナモでの作業に着手し、FIAが求めるすべてのパラメータを提供できる」
「彼らがテストをしたいと言うなら、早急にエンジンをマシンに搭載して走らせることが可能だ」
「『問題ない』とは言わない。何をするにもある程度の作業は必要だからだ。しかし彼らが望んでいるエンジンとほぼ同じものを我々は持っている。彼らが望むパワーレベルで、非常に燃費のいいエンジンだ」
「条件はすべて整っている。2017年から導入したいなら、物理的にはそれは完全に可能だ」