Q&AサイトのOKWaveに、こんな疑問が寄せられていました。相談者のsaraewさんは「派遣社員は、なぜ派遣のままなの?」と不思議に思っています。周りには正社員より仕事ができるのに、派遣を続けている人が多いからです。
「やはり非正規に一度なってしまうと正社員にはなれないのでしょうか?」と疑問を投げかけていますが、この質問には回答者から「ならない人」と「なれない人」を分けて考えた方がいいという指摘がありました。
「正社員みたいに仕事人間で生きたくない、今すぐ必要性がないならなりたくない、と考える人も多いのです。正社員になると面倒と思うわけです」(yama1998さん)
「サービス残業がない」「仕事ラク」「大手で働ける」
確かに、多くの人の頭の中には「学校を卒業したら、誰もが正社員として就職すべき」といった固定観念があります。しかし正社員になれば、その会社にどっぷり浸かる生活になるもの。そうでない働き方をしたい人も当然いるでしょう。
回答者のyama1998さんは派遣であれば残業を断りやすく、長時間労働もしなくても済むし休みも取りやすい。仕事内容も比較的ラクで、会社の飲み会や社員旅行などの行事も断りやすいといいます。他の回答者からも「正社員にならない」メリットが出ています。
「派遣社員にサービス残業はない。働いた分だけ時給が出るので、正社員なみの年収が稼げたりする。派遣社員の方が大手企業で働けることが多い。派遣社員と正社員では面接などの大変さが違う」(kobaltさん)
「私の知り合いは正社員より給料も良く、職場も選びやすい、辞めやすいし、辞めてもすぐ次があるし、自分のスキルを生かした仕事もできるので、自分のライフスタイルに合っているといっていました」(Bahamut1021さん)
労働条件の悪い中小零細企業なら、正社員でもイヤという人もいそうです。「派遣ならいつでも首を斬れ、コスト調整がしやすいから」(Bahamut1021さん)という指摘もありますが、会社中心の人生を送りたくないという働く側の思いもあるのですね。
「仕事ができる」だけでは正社員にはなれないのか
ただし正社員の立場から、このような考え方を甘いと批判するコメントもあります。
「(派遣で働きたがる人は)悪く言えば、『正社員への適性がない、または適したくない』ため、派遣というどっち付かずの立場がいいのです。ある意味で『かまってちゃん』。団体、協業などに不向きな性格です」(mimazoku_2さん)
派遣契約にない業務を頼もうとしたときに「(派遣)会社を通してください」などと言って拒否できる。そういう「誰かに守ってもらう、誰かが壁になってくれる」という保証が欲しいから、派遣を続けているという指摘です。
同じ業務を同レベルでこなしているとしても、「正社員と派遣では対等とは言いがたい」と指摘する人もいます。dorce0000さんの夫は現在、数か国目の海外勤務に従事していますが、赴任先が急に変更になったり、約束した年数が守られなかったりすることが珍しくないといいます。
「そこまで行き当たりばったりに振り回されたら、家族だって自由な暮らし、職業選択はできませんよ。つまり首にはしない代わり、あらゆる指示に従え、という交換条件です」
正社員になれるかどうかは、必ずしも「仕事ができるかどうか」だけで決まるものではない、という意味なのでしょうか。しかしこれらのコメントを見ると、ますます「正社員にはなりたくない」と思う人が増えそうな気もします。(ライター:Makiko.N)
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