FIA GTワールドカップは22日、マカオのギア・サーキットで決勝レースが行われ、予選レース後に出された判定によりトップグリッドを獲得したマーロ・エンゲル(メルセデスベンツSLS AMG GT3)がポール・トゥ・ウイン。そしてマニュファクチャラーに与えられるポイントではメルセデスベンツが2ポイント差で勝利し“世界一”の栄冠を手にした。
前日に行われた予選レースで優勝したステファン・ミュッケ(アストンマーチン・バンテージGT3)は、セーフティーカー後の再スタートの際に違反を犯したとして、レース終了の結果に10秒加算のペナルティーが課せられた。その結果、決勝グリッドは2列目からのスタートとなり、トップはエンゲル、2番グリッドにはエドアルド・モルタラ(アウディR8 LMS)となった。
決勝レースの天候は晴れ、ドライコンディションのもとFIA-GT3車両の世界一を決定する18周のレースは行われた。迎えたスタートではポールポジションのエンゲルが好スタートを切り、2列目からチームメイトのランガー・バン・デル・ザンデ(メルセデスベンツSLS AMG GT3)も2番手に浮上するなどメルセデス陣営がワン・ツー体制を敷いた。
トップのエンゲルは序盤からハイペースでみるみる2番手との差を広げると、6周終了時点で3秒以上のマージンを築き単独走行。一方、2番手争いはバン・デル・ザンデを先頭にミュッケ、モルタラ、レネ・ラスト(アウディR8 LMS)の4台によるバトルが展開されていた。
4台による2番手争いは1秒以内で膠着状態のまま進行する。レースが動き出したのは13周目。リスボアでミュッケがバン・デル・ザンデに仕掛けるがポジションはかわらず。バン・デル・ザンデはそのままポジションを守るが、左リアにダメージを負っていた。一方ミュッケはガードレールに接触しそうになり減速すると、背後から来たモルタラとラストに先行され5番手にポジションを落としてしまった。順位を上げたモルタラとラストは、さらにペースの上がらないバン・デル・ザンデもかわして14周目には2番手がモルタラ、3番手にラストが続き、ミュッケ、バン・デル・ザンデという順位に変わっていた。
トップはエンゲル独走のまま、2番手争いが動いた14周目、ブティコン・インタラプワサクがパイオルでクラッシュ。ここでセーフティーカー(SC)が導入され、これまでエンゲルが築いたマージンが一気になくなってしまった。
SC先導のまま、レースは進行すると、16周目のモーリッシュ・ヒルで14番手を走行していたジョン・シェン(ポルシェ997 GT3R)がまさかのクラッシュ。後ろを走っていたフィリップ・マ(アウディR8 LMSウルトラ)も止まりきれずに追突。これによりコースが塞がれ、後ろを走行していたマシンが身動きの取れない状態となり赤旗が提示される。すると、レースは規定周回数を満たしていることからここでチェッカー。14周終了時点の順位で終了となった。
マカオで初開催を迎えたFIA-GT3車両の世界一決定戦は思わぬ形で幕を閉じ、優勝はメルセデスのエンゲルが獲得、2位にはモルタラ、3位にラストとアウディ陣営が続いた。日本人で唯一のエントリーとなった澤圭太(ベントレー・コンチネンタルGT3)は9位完走となった。
初開催となった今年のGTワールドカップ、5マニュファクチャラーで争われた順位では、メルセデスベンツがエンゲルの1位とバン・デル・ザンデの5位で合計35ポイントを獲得しトップ。そしてアウディがモルタラの2位とラストの3位で2ポイント差の33ポイントとなった。その他では、アストンマーチンが20ポイント、マクラーレンが6ポイントとなり、ポルシェ陣営は0ポイントに終っている。