通販大手のアマゾンジャパンは、11月19日から有料会員向け新サービス「プライムナウ」を開始した。専用アプリからの注文から1時間以内に商品を届けるもので、時間オーバーの場合には配送料890円が返金される。
配送対象地域は、倉庫のある世田谷区を中心とする8区内(一部除く)で、1回あたり2500円以上の注文と年3900円の「プライム会員」年会費が必要。配送時間は午前6時から深夜1時まで対応するという。
渋谷の事務所に時間ギリギリで到着
11月20日の「スッキリ!!」(日本テレビ)は、東京・等々力の住宅街にあるアマゾンの倉庫を取材。初日の配送の様子に密着していた。午後5時4分にペットボトル入り飲料などの注文が入ると、ポロシャツ姿の男性が商品のバーコードを読み取り、紙袋に詰めていく。
注文から15分で配送車へ。夕方の渋滞を抜け、55分で配送先の渋谷区のマンション前に到着。そこから階段をかけあがって時間ギリギリで届けることができた。注文主に、どうして利用してみようと思ったのか尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「いや1時間で本当に届くのかな。なんか届かなさそうじゃないですか?なんか会社のみんなでやってみようと申し込みました」
注文主はアイスクリームなどの冷凍食品も頼んだが、保冷バックで溶けずに届いたという。番組に登場したアマゾンの事業部長によると、倉庫には約1万8000点の在庫を確保しており、
「買い置きしたり買いだめしたり、ストックする商品というよりは、ちょっと今日ないなとか、日々のちょっとしたニーズにお答えできるような商品を中心に取り揃えています」
とのことだ。番組カメラは食品やベビー用品、化粧品などの日用品のほか、受験シーズンにあわせ参考書の在庫も映し出していた。
あまりの速さに「称賛よりも恐怖を感じる!」
通販サービスはここ最近「時短競争」が激化しており、今年8月には楽天市場が、注文から最低20分で届ける「楽びん!」を開始。イオンでは1万2000点以上の商品が最短3時間で届くサービスを提供している。
これにはMCの加藤浩次も「すげえ時代だなあ」と感心していた。ネットにも「都会はいいなあ」「地方に人を分散させたい国と都会をどんどん便利にしようとする民間」といった声があがるほどだ。ただ、サービスの裏側で働く人たちの負担も当然気になる。注文から47分で到着したギズモード・ジャパン編集部の記事には、
「称賛よりも恐怖を感じる!」
「スピード出しすぎたり事故しなければいいんだけど…」
という反応もあり、不安を感じる人もいるようだ。倉庫を狭くして作業導線を短縮するなどの工夫がされていたものの、高い緊張感が求められる仕事に変わりない。使うのはあくまで緊急時に限り、「本当に届くのか試してみた」という好奇心で注文するのは気の毒な気がした。
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