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Perfume、N.W.A.、電気グルーヴ……大音量で体感したい注目の音楽映画5選

2015年11月19日 18:21  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)2015“WE ARE Perfume”Film Partners.

 ジェームス・ブラウンやブライアン・ウィルソンなど、往年の人気ミュージシャンに迫ったドキュメンタリー映画や、アーティストのライブ風景を映画化したODS作品など、近年、音楽にスポットを当てた映画が増えている。昨今は、音響設備の進化により、いままで以上にダイナミックな体験が映画館でできるようになっており、立川シネマシティが実施している極上爆音上映などはその好例だろう。そんな普段味わえない魅力的な体験を求めて、劇場に足を運ぶ人も増加しているのではないだろうか。そこで今回は、現在公開中~12月にかけて上映される注目の音楽映画5選を紹介したい。


参考:『ストレイト・アウタ・コンプトン』再び新記録 オシェイ「全世界がぶっ飛んだ !!」


◼︎『WE ARE Perfume –WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』(公開中)


 Perfumeにとって初となるドキュメンタリー映画『WE ARE Perfume –WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』。同作は、昨年リリースされたアルバム『LEVEL3』を提げて行われたアメリカ公演の模様に迫ったもので、これまでNHKの歌番組『MUSIC JAPAN』などでも彼女たちのライブを追ってきた佐渡岳利監督がメガホンを取っている。最新技術を用いて世界的にも高く評価されている彼女たちのライブはもちろん、その裏側の努力や、メンバーそれぞれのパーソナリティまで捉えた作品となっている。『ポリリズム』のスマッシュヒットから8年、なぜPerfumeは世界中から愛される存在になったのか、本作を観れば納得のいく答えが見つかるだろう。(参考:「Perfumeのクールな表現は、熱い思いに裏打ちされている」佐渡監督が明かすアメリカ公演の裏側)


◼︎『ストレイト・アウタ・コンプトン』(12月19日公開)


 1986年、ラップで社会への反骨精神を表現するグループとして結成されたヒップホップグループ・N.W.A.。『ストレイト・アウタ・コンプトン』は、N.W.A.が結成し、その後の成功への道のりと挫折、権力や偏見との戦い、仲間の裏切りなど、知られざる物語を描いた伝記映画だ。本作は、すでに世界興収2億ドルを突破しており、音楽伝記映画史上興収No,1、全米3週連続No,1記録、ハンプトン国際映画祭ブレイクスルー・パフォーマー賞受賞など、数々の記録を樹立している(11月19日時点)。ICE CUBE役を、彼の息子であるオシェイ・ジャクソン・Jrが演じるなど、キャストにも注目が集まる本作は、当時の熱気を再現したライブシーンが見もの。役者たちが実際にラップを披露する姿は、ぜひ大音響&大画面で堪能してほしい。90'sヒップホップのムーブメントを体験した世代はもちろん、音楽好きならきっとその熱が伝わるはずだ。


◼︎『ソークト・イン・ブリーチ~カート・コバーン 死の疑惑~』(12月12日公開)


 90年代、カリスマ的な人気を誇ったロックバンド”ニルヴァーナ”で、フロントマンを務めたカート・コバーン。『ソークト・イン・ブリーチ~カート・コバーン 死の疑惑~』は、1994年に27歳という若さでこの世を去った、彼の死の真相に迫るドキュメンタリーである。彼が自殺を図ったのは事実なのか、捜査資料や関係者へのインタビュー、妻であるコートニー・ラブの事件前後の音声やカートの遺書の筆跡鑑定など、様々な新事実を検証し、未だ多い死の謎を解き明かしていく。人気絶頂の最中、独自の思想を抱いて死を迎えたという物語がある種のパフォーマンスとなり、カートの存在はより伝説的なものとなっていった。その真相に迫る本作は、彼に心酔した多くの人々が抱く音楽観にも影響を与える可能性がありそうだ。


◼︎『THE WHO ザ・フー LIVE IN HYDE PARK』(公開中)


 60年代、モッズカルチャーと共に、ロック史へ多大な影響を与えたバンドThe Who。彼らのデビュー50周年を記念して行われた”The Who Hits 50!ツアー”のフィナーレとして、2015年6月に開催されたロンドン・ハイドパークのライブ模様を収めたのが、このドキュメンタリーだ。本編のほかに特別映像として、バンド誕生から50年を経た胸中を明かすインタビューや、元レッド・ツェッペリンのロバート・プラント、イギー・ポップ、元ザ・スミスのジョニー・マーらのコメントも明かされている。モッズ全盛期のロンドンにて、ライブパフォーマンスが過激なバンドとしても多大な影響を与えてきた彼らが、50周年という節目にどんなステージングを披露しているのか。いまなお失われない情熱を、その目と耳で確かめてほしい。


◼︎『DENKI GROOVE THE MOVIE? ~石野卓球とピエール瀧~』(12月26日公開)


 『DENKI GROOVE THE MOVIE? ~石野卓球とピエール瀧~』は、結成25周年を迎えたユニット・電気グルーヴ初のドキュメンタリー映画となっており、全国の劇場にて2週間限定で公開される。本作は、25年の年月を経て発掘された結成初ライブや世間を驚かせた数々の記録映像、当時を振り返るメンバーのインタビュー、最新ライブの模様やアーティスト、スタッフの証言で構成されている。結成25周年を迎えるも、いまだに浮世離れした雰囲気を身にまとい、アーティストとしての底が見えない石野卓球とピエール瀧。お互いにソロとしても精力的に活動している彼らの関係性や、これまでに明かされてこなかった一面も、本作で確認できるはずだ。また、『モテキ』や『バクマン。』などの映画作品で知られる大根仁監督が本作を手がけているのも興味深いところ。大根監督は、「過去、それなりに難易度の高いミッションをこなしてきた自負はありましたが、いちばんカッコ良い先輩たちが、怖い批評家であることも知っているオレは、この仕事に確実に『地獄』を予感しました」と語っているが、その仕上がりは果たして……。(参考:電気グルーヴ、初のドキュメンタリー映画決定 大根仁監督「この仕事に『地獄』を予感しました」)


 今回紹介した作品は、純粋に楽曲やアーティストの魅力を楽しめるものから、音楽を通して当時の時代背景やアーティストの物語を知ることができる内容になっている。いずれの映画も濃厚に“音楽”を感じられる作品であることは間違いないので、できるだけ大きな音で楽しみたいところだ。(泉夏音)