前田司郎監督の映画『ふきげんな過去』が2016年夏に東京・テアトル新宿ほか全国で公開される。
劇団「五反田団」を主宰し、ドラマ『徒歩7分』で『第33回向田邦子賞』を受賞した前田司郎。2013年の『ジ、エクストリーム、スキヤキ』に続く、2作目の監督作となる『ふきげんな過去』は自身のオリジナル脚本を映画化した作品だ。
物語の舞台は女子高生の果子が暮らす北品川。18年前に死んだはずが突然現れ、自分が果子の本当の母親だと告げる叔母の未来子と、彼女に反発する果子のひと夏の物語が描かれる。
ある事件を起こして前科持ちになった未来子を演じるのは小泉今日子。自分の部屋に居候する未来子の存在に苛立つ果子役を二階堂ふみが演じる。
小泉は二階堂との共演について「今回初めてだったのですが、演じているときのプロフェッショナルなところと、21歳の素のままの女の子が共存していてとても嬉しかったです」とコメント。二階堂は「小泉さんは素敵という言葉が何よりも似合う方だと、現場でご一緒させて頂いて感じていました」と語っている。
■小泉今日子のコメント
未来子は心の中にエキセントリックなところがある不思議な役でした。
数ミリ宙に浮いているような不思議な世界観のなか、宝島をめざす夏休みの冒険のような物語で、私はファンタジー映画かもしれないと思っています。
■二階堂ふみのコメント
遠い耳鳴りのような感覚になるキャラクターと、歪みと心地よさが混合する不思議な現場でした。
母と自分とワニと過ごした夏の映画、よろしくお願いします。
■前田司郎監督のコメント
爆弾を作って爆発させることはあまり褒められたことじゃないし、それで誰かを傷つけたとしたら、許されざる犯罪です。
でも、爆弾を作らざるを得なかった。爆発させざるを得なかった。
そういう人も居るのだと思います。
僕は爆弾を作らないけど、爆発させたい気持ちが無いこともない。
でも、爆発させる人と、させたい人の間には大きな隔たりがあり、小泉さんなら爆発させる側の人間を演じることが出来る気がした。
二階堂さんは、その大きな隔たりの上に立ち、苛立ちの火花で今にも導火線に火をつけそうな少女の目をしていると思った。
別にこの映画は爆弾の映画じゃないけど、過去と未来、正気と狂気、此岸と彼岸、そして生と死や全ての交わらないものを、ぐちゃぐちゃに混ぜるためには爆弾が必要な気がすると、そんなことを考えながら作った映画です。
この映画が人を傷つけない爆弾であれたらと思います。