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V6・坂本、NEWS・手越、関ジャニ∞・丸山……ジャニーズで増える“ハモリ職人”たちの歌唱法

2015年11月19日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)タナカケンイチ

 KinKi Kids・堂本剛、嵐・大野智、関ジャニ∞・渋谷すばるなど、歌唱力が評価されるジャニーズメンバーが珍しくなくなってきた昨今。カリスマ性溢れるそのリードボーカルに注目が集まりがちだが、彼らを支えるメンバーがいることも忘れないでおきたい。“ハモり職人”と比喩されることもある、コーラスが得意なジャニーズメンバーの存在だ。今回はそんな彼らに注目してみたいと思う。


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■V6・坂本昌行


 「歌が上手いジャニーズは?」という質問で、必ず名前が挙がると言っても過言ではないV6の坂本昌行。V6の楽曲ではもちろん、舞台でもその歌唱力を発揮している。来年2月からは初のソロミュージカルコンサート「ONE MAN STANDING」も決まり、乗りに乗っている状態だ。そんな彼は、ハモりの技術もピカイチである。しっかり腹式呼吸を使って歌っており、ピッチが非常に安定しているため、美しいコーラスを実現している。しかも、坂本の声質は癖のないスタンダードな声。元々ハモりパートに向いている声質なのだ。さらに、ミュージカルや舞台で身に付けた歌唱スキルを活かし、シーンごとに歌い方を変えることもできる。そのため、リードボーカルが変わってもその人の歌い方や声質に合わせてハモり方を変えているというわけだ。長年経験を積んできた、芸達者な坂本だからこそなせる技だろう。


■NEWS・手越祐也


 ハイトーンボイスと声量が魅力のNEWS・手越。リードボーカル時の歌唱力もさることながら、メンバーの増田貴久とのユニット・テゴマスで見事なハーモニーを披露していることは周知の事実だろう。手越は、そのハイトーンボイスを活かして高音のハモリを担当することが少なくない。男性が高音のコーラスを無理やり行なうと、声が揺れてしまったり、リードボーカルとの声量のバランスが悪くなりがちだが、手越にそういった欠点は見られない。しっかりと腹式呼吸で息を吸って喉を開いて歌っているため、声が揺れることもなく声量も充分だからである。また、いつも一緒に歌っている増田と比較的声質が似ているのも、美しいハーモニーの鍵となっていると考えられる。高低差はあるものの、2人ともやや丸みのある優しい声のため、違和感のない完成度の高いハモりが生み出されているのだろう。


■関ジャニ∞・丸山隆平


 関ジャニ∞といえば、渋谷すばるのカリスマ性溢れるボーカル、何でも器用にこなす安田章大の音楽スキルが取り沙汰されることが多い。しかし、「ハモり」という点で見るとメンバーの丸山隆平が突出していると思う。TVやライブのMCなどで大きな声を出しながらワイワイ騒いでいる姿からは想像しにくいが、丸山は少し鼻にかかる丸みのある高めの声質だ。そのため、リードボーカルの上をハモるパターンが多い。注目したいのは、丸山自身がリードボーカルをとる時とコーラスを担当する時では、明らかに歌い方を変えている点である。リードボーカルの時は声に感情を出したり、ダイナミクスを意識的に付けたりしているのに対し、コーラスの時はビブラートもしゃくり上げも一切していない。淡々と一定に歌っているのだ。コーラスのテクニックとしては当たり前なのことなのだが、実際にやろうとするとなかなかできることではない。しかも丸山は意識的か無意識か、リードボーカルを歌うメンバーの声質に合わせて声質を変えている。例えば、渋谷の時はやや強めの声で、安田の時は“High”の部分を意識した声で、といった具合だ。常に周りに気を配り、一人ひとりを良く観察している丸山だからこそできるコーラス方法ではないだろうか。


 これまで、ジャニーズは「ユニゾン」を得意としてきたが、最近ではハモりを入れているグループが増えている。時代のニーズに合わせて少しずつ変化を遂げてきたのであろう。その流れの中でグループを支えるのが、彼ら“ハモり職人ジャニーズ”たちである。「歌唱力がある」と評価されているジャニーズメンバーに比べて、優しい歌声が多い彼ら。その優しく美しい歌声に酔いしれながら、曲を聴いてみるとまた違った魅力が発見できるかもしれない。(高橋梓)