シャープが11月20日から、全社員に向けて自社製品の購入を呼びかける「シャープ製品愛用運動」を始めると18日の読売新聞が報じている。役職に応じて目標金額が設定されており、購入額の2%が奨励金として社員に支払われるという。
目標金額は「取締役や執行役員は20万円、管理職は10万円、一般社員は5万円」で、「特別社員販売セール」の専用サイトから購入する。会社側が購入状況を把握できるため、社員からは「事実上の『ノルマ』と受け止められている」とのことだ。
広報部は「ペナルティはなし。決して強要ではない」
このニュースを受けて、ツイッターでは「シャープ」がトレンド入りし、ネットで大きな注目を集めている。反応の内容は、「もうSHARPも末期だな」「ほんとにヤバいんだなあ…」と大手企業の衰退を感慨深くつぶやく人のほか、
「ある意味、パワハラじゃろ!!」
「会社が堂々と『自爆営業』を命じるとか、狂ってるとしか思えんのだが」
と、施策が公序良俗に反するのではと疑問視する人もいる。シャープの採用サイトによると、2015年度の大卒の初任給は21万9000円。給与の約4分の1となると、若手社員の懐はかなり圧迫されそうだ。
他にも、社員が購入した製品が「年末のオークションにたくさん流れるのでは」といった憶測や、会社がかつて掲げたキャッチコピーをもじって「目の付けどころがチープでしょ」と揶揄する声があがっていた。
なお、シャープの広報部に取材したところ、今回の「愛用運動」はノルマといえるものではないとし、読売新聞の報道を否定した。あくまでも協力要請と奨励であり、購入しないことによるペナルティもなく、決して強要ではないとのことだ。買わない人が出てくることも想定しているという。
「弊社の製品は、社員が敬遠するようなモノではありません」
また広報部によれば、現段階では社員向けに何を販売するかは定まっておらず、「特別社員販売セール」が開始される20日にならないと判明しないという。価格についても「家電はオープン価格で定価はないので、(家電量販店など)他と比べていくら安くなるかは未定です」とのことだった。
しかし自社の製品を最初から愛用している社員が多ければ、わざわざ奨励金を支払う必要はなく、やはり社員に無言のプレッシャーを与えるものと考える人が出るのが自然だ。このような批判を意識したのか、約26万人のフォロワーを抱えるシャープの公式ツイッター(@SHARP_JP)は18日午前、
「弊社の製品は、それをつくる社員が敬遠するようなモノではありません」
と断るツイートをしている。その一方で「自社製品に適度な自信と批評精神を持つことが、メーカーに勤める者として最低限の節度だと、私は思います」ともツイートしており、いくら自社製品でも不要なものは無理に買わないという矜持とも受け取れる。
ツイッターは続けて「この年末、もし家電をご入用の際は、弊社製品も候補に入れていただけますとうれしいです」とPRを忘れなかったが、その後「(とはいえ私だって思うことはある…超ある)」とつぶやき、会社の施策に対する複雑な心境を漏らしていた。
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