2015年11月18日 07:21 弁護士ドットコム
(弁護士ドットコムの法律相談コーナー「みんなの法律相談」に寄せられた相談をもとに弁護士ドットコムライフ編集部が作成しました)
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義父母との関係に悩む人は多くいます。心の底では「縁を切りたい!」と願っている嫁だけでなく、夫の死後、義実家との関係をどうするべきか、距離感に悩む嫁にとっても「縁」はなかなかの難題となるようです。
先日、弁護士ドットコムライフでは、夫の死後、同居する姑に出て行ってもらえるか? との相談をもとに記事(「【嫁の法律相談】さよならお義母さん、もう出て行っていただけますか?」https://www.bengo4.com/sozoku/li_48/ )を掲載しました。
この記事には、読者の方々から多数のコメントが寄せられました。
中でも多く見られたのは、記事中に登場する「姻族関係終了届」に対するコメント。「私なら自分が子供達連れて出ていきますね。勿論届出もして縁も切ります」「仮にダンナが死んでも、私や子供が縁を切るなんて発想に無い。信用できる身内は、多ければ多いほど心強い」など様々な意見が寄せられました。
そこで今回は、「姻族関係終了届ってそもそも何? 配偶者が亡くなった人は皆出すべきなの?」「義父母が拒否しても、勝手に出してOK?」といった素朴な疑問について、浮田美穂弁護士に聞きました。
A. 「姻族関係終了届」を出すと、義父母との姻族関係が終了します
結婚をすることにより、配偶者の父母、兄弟姉妹、伯父・伯母(叔父・叔母)、甥・姪などとは、親族関係が発生します。
このような親族関係は、離婚すると当然、終了しますが、配偶者の一方が亡くなった場合は、生きている方の配偶者が、姻族関係を終了させる意思を表示することで終了します。そこで必要なのが、「姻族関係終了届」です。
「姻族関係終了届」を出すことによって、配偶者の父母らと、届を出した人との姻族関係はなくなります。
生きている配偶者が市町村役場に届け出ればいいだけなので、義父母が拒否しても手続きできますし、義父母に黙って届け出ても構いません。家庭裁判所への申立も不要です。姻族関係を終了させれば、扶養義務を負うこともなくなります。
なお、姻族関係の終了と相続とは関係ありません。
届出をした人の子どもは、亡くなった配偶者の親(子どもにとっては祖父母)と血縁関係にありますから、姻族関係を終了させても、子どもには、祖父母の遺産を相続する権利があります。
届を出すことのメリットは、義父母の扶養義務を負うことがなくなることですね。
デメリットはその逆で、自らが扶養してもらえる人の範囲が狭まることですが、あまり深く考える必要はないでしょう。
ちなみに、配偶者が亡くなって再婚をする場合、「姻族関係終了届」を出していないと、亡き配偶者の親と、再婚相手の親との二重の姻族関係が発生することになります。
【取材協力弁護士】
浮田 美穂(うきた・みほ)弁護士
2002年、弁護士登録。2010年、度金沢弁護士会副会長。2011年から、石川県子ども政策審議会児童福祉部会委員。著書に 「ママ弁護士の子どもを守る相談室」(2013年、一万年堂出版)。
事務所名:弁護士法人兼六法律事務所
事務所URL:http://kenroku.net/