ブラジルGPの予選でパワーユニットにトラブルが発生、アタックできなかったフェルナンド・アロンソはコンポーネントを交換。今季12基目のICE、11基目のターボチャージャーとMGU-H、8基目のMGU-Kを投入し、レース審議委員会から予選前までのパフォーマンスが認められて最後尾からスタートした。
しかしアロンソは、なかなか安定した走行ができなかった。「走っていて、ときどき変な感じだった」という。決勝ではシャシーにも、パワーユニットにも問題は起きていなかったのにもかかわらず、なぜ挙動が乱れたのだろうか。ホンダの新井康久F1総責任者は次のように説明する。
「エンジン(ICE)は金曜、土曜と同様のスペック4最新仕様ですが、データの説定はエンジンごとに細かく変えなければなりません。したがって予選後にエンジンを交換すると、それまでに施していたセッティングが使えないというハンデを背負うことになります。もちろん土曜の夜に可能な限り合わせたつもりですが、万全な状態だったとは言えず、アロンソは苦労していたと思います」
土曜まで続いていたトラブルを繰り返すことなく、マクラーレン・ホンダは2台そろって完走した。順位はジェンソン・バトン14位、アロンソ15位。
「やっぱり初日と2日目に予定されている各セッションを、きちんと走ることができないと苦しい。そういう意味でも、トラブルはレース以外の日であっても絶対に起こしてはならないということを痛感しました。まだまだ我々の力が及んでいない結果です」
金曜と土曜にトラブルが出たアロンソのパワーユニットふたつは、日本へ送り返して解析が行われる。
「ここに来て、これまで経験していないトラブルに遭遇しているというのは我々の実力が足りていないということ。パワーユニットの開発は、出力を上げながら、同時に信頼性を向上させるという相反する二兎を追う競争で、ライバルに差をつけられていることは確か。しかし、それを克服しなければ勝てない。パーツをすべて見直して、クオリティコントロールを徹底しなければならない。1年で経験したさまざまな問題をきちんと踏み台にして、来シーズンに向けて準備していくつもりです」と新井総責任者は現状を認識している。
次は、いよいよ最終戦。戦いの地はホンダがマクラーレンと新たにタッグを組み、初めて実走テストをスタートさせた記念すべき場所だ。納得の行くエンディングで初年度を締めくくってほしい。
(尾張正博)