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10年後の在宅介護数は約30万人! 介護ストレス対策法

2015年11月16日 05:20  週刊女性PRIME

週刊女性PRIME

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政府が試算した、2025年に在宅医療や介護を受ける人の数は約30万人。 「10年後、3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上に!」こんな衝撃的な数字がニュースを賑わせる昨今。 高齢化が進むなか、厚生労働省は「在宅医療・介護推進プロジェクトチーム」を発足し、公費負担が多い病院ではなく、在宅介護へとシフトしようとしている。 誰もが介護に直面する可能性がある今、社会問題となっているのが、介護をする人のストレス。その負担を増大させるものとして”ニオイ”が注目されているという。 介護独特のニオイに対応する新商品も続々と登場。そこで、ニオイが与える悪影響からスッキリ対策法、ニオイがなくなるとどうなる? という効果まで、専門家に取材した。 何かとストレスがたまりがちな介護。では、具体的には何が大変なのだろうか。 花王調べのアンケートでは、負担に感じる場面として、「排泄介助」「被介護者が使う寝具の洗濯」「食事の準備」「家の中の掃除」「被介護者が着る衣料品の洗濯」が上位にランクイン。このうち「食事の準備」以外には、介助中に不快なニオイを伴うという共通点が。 嫌なニオイには明確な悪影響があると話すのは、杏林大学医学部精神神経科学教室の教授で、長年ニオイが人に与える影響を研究してきた、古賀良彦先生だ。 「ニオイは理屈を超えて、瞬時に人の気持ちを動かします。嫌なニオイを嗅いだ後だと、リラックスしたときに出る脳波のα波が減ってしまう、運動パフォーマンスが落ちるなど、人の心身に影響を与えることが、研究結果からもわかっています」 では、介護時に気になるニオイとは? 同じく花王調べのアンケートでは、「尿のニオイ」「便のニオイ」「部屋全体のニオイ」がトップ3を占めた。 「ニオイは遮断するのが難しいもの。しかも、被介護者は服薬などで、体臭や排泄物のニオイが強くなっていることが多いです。例えば、被介護者がいる1階だけニオイが変わってしまい、階段を下りるだけで気持ちが滅入るという話はよくあります。ましてや、介護は決して自分で望んで直面するものではなく、介護者と被介護者の関係も良好とは限りません。介護の肉体的・精神的ストレスを、ニオイがさらに強めてしまうのです」(古賀先生) ニオイが気になるのは、介護者ばかりではない。被介護者も、ニオイを気にするあまり排泄行動がうまくいかなくなる、消極的になるなどのケースがあり、その結果、寝たきりになってしまうこともあるという。 そうなれば、介護者の負担はさらに増え悪循環に陥ってしまう。ニオイが生む悪循環は、もうひとつあると、古賀先生は言う。 「嫌なニオイへの忌避感が強くなると、排泄後のふき取りが不十分になったり、おむつ替えの頻度が下がったりしてしまいます。そうすると、汚れが残って、よけいにニオイが強くなってしまうのです」