F1では数少ない反時計回りで、1周が4.309kmとカレンダーの中ではモナコに次いで2番目に短いインテルラゴス。しかしタイヤにとっては特にリヤへの負担が大きく、サンパウロ特有の暑さもあって非常に酷使される傾向にあります。
昨年は、タイトル争いを繰り広げていたメルセデスAMGのニコ・ロズベルグとルイス・ハミルトンがマッチレースを展開し、見事ポール・トゥ・ウインを決めたロズベルグが最終戦に望みをつないだ一戦となりましたが、今年のレースもシルバーアローの2台が優勝争いの大本命となりそうな雰囲気です。
初日のフリー走行2回目(FP2)は若干小雨がパラついたものの、なんとか最後までドライコンディションが維持され、各車とも40周前後を走行。セッション後半は決勝を想定したロングランの走行も行われました。ただ、多くのドライバーのコメントにあったように路面は終始滑りやすく、一部大きく変わった縁石や崩れかけたアスファルト、さらにトラフィックの影響を受けたドライバーも多くいるなど、総じて難しいセッションとなりました。
しかし本命のメルセデス2台はFP2で3番手につけたライバルのフェラーリ、セバスチャン・ベッテルに1周約0.5秒速いペースを示しています。FP2トップのロズベルグはソフトタイヤで12周の連続周回を行い、平均1分17秒075を記録。対するハミルトンも11周の連続周回で平均1分16秒953を記録しました。このふたりを比べると若干ハミルトンに分があるように見えますが、ロズベルグはロングランの途中にエンジンブレーキの不調を訴えており、走行後のコメントでも、ハミルトンとは異なるエンジンモードで走っていたと語っています。
一方でフェラーリはベッテルがソフトタイヤ、チームメイトのキミ・ライコネンがミディアムタイヤで走行と、2台でタイヤ評価を分けていましたが、ライコネンの平均が1分17秒9ほどだったのに対し、終盤ミディアムの走行を行ったロズベルグは1分16秒8で、両者の間には1秒近いギャップが存在しています。
この結果からも、メルセデスとフェラーリの差は明確であり、このままフェラーリが改善を果たせなければ、レースではレッドブルやウイリアムズからのプレッシャーにさらされる恐れもあるでしょう。
今回、ダニエル・リカルドがルノーの新スペックのパワーユニットを搭載したレッドブルは、大幅なタイムの向上とはいきませんでしたが、旧スペックを積んだダニール・クビアトに対してコンマ2秒半ほどのギャップを築くことに成功しました。
また、ロングランでもソフトタイヤのクビアトが平均1分17秒5、ミディアムのリカルドが平均1分18秒1と、フェラーリに迫るペースを記録するなど、まずまずの走り出しをみせています。ウイリアムズもフェリペ・マッサが1日中、リヤのグリップ不足に悩まされていましたが、6番手につけたバルテリ・ボッタスは両方のタイヤをうまく機能させることができロングランも安定していたと、今週末の戦いに自信をみせています。
初日とはいえ、メルセデスAMGが最速であることはほぼ間違いなさそうですが、彼らに続くポジションをフェラーリが守りきれるのか? それともレッドブルやウイリアムズが接戦に持ち込むのか。フェラーリとしては、ベッテルのランキング2位争いもあるため、メルセデス以外のドライバーとレースを争うわけにはいきませんが、初日は燃料を多く積む傾向にあるウイリアムズの予選アタックやコーナーリング性能に優れるレッドブルも侮れません。
土曜日以降のセッション、3番手を賭けた争いにもご注目ください。