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『テラスハウス』スタッフが制作、『トランジットガールズ』は新しい恋愛模様を描き出せるか

2015年11月14日 11:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『トランジットガールズ』公式HP

 11月7日に第1話が放送された土曜ドラマ『トランジットガールズ』は、女の子同士の恋愛というテーマを取り上げた、今季ドラマクールの中でも異色の作品だ。若年層に絶大な人気を誇った『テラスハウス』のスタッフが制作を行っており、Dragon Ashのフロントマンである降谷建志が楽曲を提供していることも話題を呼んでいる。


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 LGBTの恋愛は、社会的にも関心が高まっているテーマのひとつだ。映画界においても『アデル、ブルーは熱い色』(2013)や『チョコレートドーナツ』(2014)など、LGBTを題材とした海外作品が公開されている。そんな関心の高まりに呼応するように放送が始まった『トランジットガールズ』。物語を通じて社会的関心の高い事象を描くのは、テレビドラマが持つ公共性という観点から見ても、意義のある試みといえる。


 物語は、2年前に母親が他界し、父親と2人で暮らす高校生の葉山小百合(伊藤沙莉)のもとに、父親の再婚相手の連れ子である志田ゆい(佐久間由衣)が現れ、義姉妹となるところから始まる。はじめは反発しあうものの、ひとつ屋根の下で暮らすなかで、互いに恋心を募らせていく姿を描いていくラブストーリーだ。


 先週放送された第1話では、小百合とゆいの出会いを描きながら、2人の人間性や周囲の環境を紹介している。小百合は、友情や恋といった青春を謳歌する健全な女子高生だが、ゆいは口数が少なく、感情をあまり表に出さないクールな印象だ。再婚への不満を露骨に表わし、ゆいに対しても冷たい態度をとる小百合。その一方でゆいは、義姉妹ならざる感情を抱きながら小百合へと近づき、第1話から視聴者をドキッとさせる大胆な行動をとっていた。


 また、性格だけでなく外見も対照的だといえる。百合子役を演じる伊藤沙莉は、身長152cmと小柄な体格で、セミロングの髪型をしているのに対し、ゆい役の佐久間由衣は身長171cmとスタイルが良く、黒髪のショートヘアがボーイッシュな印象を与える。先ほどあげた映画『アデル、ブルーは熱い色』でも言えることだが、違う価値観を持つ者同士だからこそ惹かれあい、そこに激しい恋愛感情が生まれるのだ。


 こうした王道の恋愛ストーリーは、過去に映画やドラマで多く使われてきた物語構造だが、それを女の子同士で行うことで新しい情景を生み出している。本作のイメージカットには、ベットでじゃれあう2人の様子が写し出されているのだが、そこには透明感がありながらも濃密な空気が感じられる。容姿も性格も対照的な二人が、今後どのような過程で惹かれあっていくのか。そして、二人の関係が深まるにつれ、その友人や家族などの登場人物はもちろん、世の視聴者はどんなリアクションを見せるのか。数々の恋愛模様を切り取ってきた『テラスハウス』制作陣の手腕も、大いに試されそうだ。(泉夏音)