ケラリーノ・サンドロヴィッチ演出の舞台『8月の家族たち August: Osage County』のキャストが発表された。
2007年にアメリカ・シカゴで初演された『8月の家族たち August: Osage County』は、酷暑のオクラホマを舞台に三姉妹と家族たちの不協和音を描いた物語。劇作家トレイシー・レッツが自らの実体験をもとに執筆した作品で、戯曲は『ピューリッツァー賞』、公演は『トニー賞』最優秀作品賞ほか4部門に輝いたほか、2013年には映画化もされた。
今回の公演では、詩人でアルコール中毒の夫ベバリーが失踪したことで、薬物の過剰摂取による半狂乱状態に陥る妻バイオレット役を麻実れいが演じる。また、母であるバイオレットと言い争いが絶えない長女バーバラ役に秋山菜津子、密かな恋に悩む優しい次女アイビー役に常盤貴子、奔放な三女のカレン役に音月桂がキャスティングされているほか、生瀬勝久、橋本さとし、中村靖日、村井國夫、木場勝己らも出演者に名を連ねている。
映画版でメリル・ストリープが演じた役に挑む麻実れいは、ケラリーノ・サンドロヴィッチ演出の舞台に初出演することについて「KERAさんと初めて御一諸に創るこの舞台、何か素敵な予感がして今から胸がワクワクしています」とコメントを発表。
演出と上演台本を手掛けるケラリーノ・サンドロヴィッチは、同公演について「プロデューサーから『他人の戯曲で演出してみたいものはありませんか』という提案を受けたので、必死に探したのです。なかなかやりたいホンは見つからなかった。で、トレイシー・レッツという作家に行き当たったわけです。なかなかに辛辣なコメディを書く人で、日本でも『BUG』という作品が坂手洋二氏の演出で上演されておりますが、この人の新作が賞をとって映画化されたと聞いたのが発端です。しかも三姉妹と母親の確執を描いたドラマだという。三姉妹モノに目がない私です。お、これは、と触手が動きました。タイミングよく日本で封切られた映画版を観に行きましたが、観客が喜劇だと思ってないからか、殆ど客席に笑いは起こりませんでした。その後、ブロードウェイ上演の影像を観ると、打って変わって爆笑の連続。とくに映画と舞台で大きな違いはないのにです。観る人によって反応が大きく変わるというのは、すなわち作品の幅を示しているのであり、こいつぁやりがいがあると感じ、すぐに上演権の獲得を依頼しました。キャスティングについては、今回は私の要望とプロデューサーサイドのオーダーを擦り合わせました。結果、私にとって未知の俳優さんを含めた、新鮮な顔ぶれが集結。楽しみです。それから、急遽、演出に加え、上演台本もやらせてもらうことにしました。近年連続しているチェーホフ作品同様、大幅な改変は一切するつもりはありませんが、同じ内容の台詞でも、語順、語尾等を変更し、微細な加筆や削除の権限を与えてもらえるだけで、作品を生き生きしたものにできる可能性が大きく広がるのです。家族たちのバトルからあぶり出される『愛情』の物語を、ドライに作り上げる所存です。御期待ください」とのコメントを発表している。
なお同公演は2016年5月7日から東京・渋谷のBunkamuraシアターコクーン、6月には大阪・森ノ宮ピロティホールで上演される。東京公演のチケットは2月20日に発売。