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生田斗真主演の『グラスホッパー』…でも最大のクライマックスは浅野忠信と山田涼介の対決シーン!?

2015年11月12日 17:11  リアルサウンド

リアルサウンド

『グラスホッパー』公式サイト

 先週末の動員ランキングのベスト3はすべて新作。1位を獲得したのは、TBSとWOWOWが共同製作した逢坂剛原作のドラマ『MOZU』の完結編となる『劇場版 MOZU』。322スクリーンで公開され、土日2日間で動員17万374人、興収2億2847万2400円を記録。西島秀俊、香川照之、真木よう子らドラマ版のキャストに加えて、劇場版ではビートたけし、伊勢谷友介、松坂桃李らも登場。TBS版(シーズン1)、WOWOW版(シーズン2。後にTBSでも放送)、さらには複数のスピンオフドラマと、多角的に展開してきた刑事ものの緻密なミステリー作品だけに、劇場版では「一見さんお断り」的な敷居の高さが仇になることも心配されたが、豪華キャスト陣の話題性とTBSの各番組における絨毯爆撃的プロモーションによって一定の結果を残したかたちだ。


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 2位は伊坂幸太郎の140万部超のベストセラーを映画化した『グラスホッパー』。314スクリーンで公開され、土日2日間で動員14万7275人、興収1億9196万6600円。2013年2月に公開された同じ瀧口智行監督、生田斗真主演の『脳男』からは微減といったところ。原作が刊行されたのは2004年。冒頭の事件が起こる舞台をハロウィンの渋谷にするなど現代風のアレンジは施されてはいるが、映画化のタイミングとしては旬を逃した感が否めない。


 3位は『エベレスト 3D』。土日2日間の成績は動員9万6220人、興収1億6407万7100円。3D、IMAX 3Dの上映が興収を押し上げてはいるものの、9万6220人を公開館数の424スクリーンで割ると200強。つまり、公開初週の週末に1日当たり1館100人強の動員ということ。これは厳しい興行と言わざるを得ない。


 ところで、『劇場版 MOZU』のビートたけしも話題だが、『グラスホッパー』の共演陣もそれに負けず劣らず超強力。浅野忠信、麻生久美子、吉岡秀隆といった日本映画を代表する主演クラスの役者が勢揃いし、村上淳、石橋蓮司、宇崎竜童とった名優たちも登場。さらには『暗殺教室』での好演も記憶に新しいHey! Say! JUMPの山田涼介が役者としてのさらなるポテンシャルを見せつけ、NHKの連続テレビ小説『あさが来た』の主演で注目を集めている波瑠もストーリーの発端となる役を印象的に演じている。正直言って、作品の最大の見せ場となっているのは浅野忠信と山田涼介、両者のエキセントリックさが炸裂するクライマックスの対決シーンで、その間ずっと気を失っている生田斗真に関しては思わず「主演としての立場は?」と不安になってしまうほど。まぁ、そういう原作で、そういう脚本と言ってしまえばそれまでなのだが、生田斗真が目当ての観客にとっては消化不良となる作品かもしれない。(宇野維正)