職場は仕事場であるとともに、人間が集まる場所でもあります。人間関係を良好にしておくことは、仕事を円滑に進めるうえでも重要なこと。職場の士気を高めるため、飲みニケーションとともに「ユーモアのあるジョーク」を使うこともあるでしょう。
このジョークの使い方について、10月27日付の米HR Grapevineがある研究結果を紹介しています。上司がリーダーシップを形成するうえで、一般的に「上品でポジティブなジョーク」がよいものとされていますが、米ミズーリ大学経営学科准教授のクリストファー・ロバート氏によると、必ずしもそうとは限らないのだそうです。
皮肉のような冗談でも、仕事の満足度を高めることもある
ロバート准教授は、研究結果によって「ジョークの効果は、上司と部下との関係に依存している」ということが分かったと述べています。
「具体的には、部下との関係がよい場合には、上司が飛ばすポジティブ・ネガティブいずれのジョークであっても、部下の仕事の満足度にも貢献するということです」
要するに、たとえ皮肉のような冗談であっても、部下との関係によっては仕事の満足度向上につながることになります。意外な結果ですが、逆に言えばいくら上品でポジティブなジョークでも、部下に効き目がない場合もあるということでしょう。
この理論を裏付けるために、ロバート准教授とそのチームは、上司と従業員向けのアンケートを作成しました。そして、54の組織のリーダー70人と、その部下241人からの回答を分析しました。
その結果、ユーモアはしばしば強力な人間関係の維持に役立つが、それはあくまでも部下がどういう文脈で受け取るかによることが分かりました。ロバート准教授はジョークの使い方について、次のように指摘します。
「この調査結果は、上司が部下とのやり取りの中にジョークを織り込みたい場合、部下がそのジョークをポジティブに解釈するかどうかを、まず評価してからにすべきであることを示唆しています」
ジョークより大事な「公正な処遇」「有益なフィードバック」
あるジョークが効果的かどうかは、それまでの人間関係に依存しているという結論は、ジョークを用いて人間関係を強化したいと考える上司にはガッカリするものでしょう。ロバート准教授も、こう指摘しています。
「上司はジョークを使って人間関係を築くよりも、まずは公正な処遇や、明確で有益なフィードバックを通じて、部下との強い関係を築く努力をすべきです」
記事にはジョークの具体例がなく、当たり前すぎるとも思える結論ですが、この記事は数多くシェアされ、読者のコメントもついています。
ある読者は「スマートなユーモアはいつもポジティブなもので、それが誰から発せられても違いはない」として、研究結果に対して疑問を呈しています。逆にいうと相手が許容するかどうかは関係なく、下品で攻撃的なジョークは言うべきでないという考えかもしれません。
また別の読者からは、研究結果を支持する声もあがっています。「ジョークにうんざりさせられる人もいる」「その場では笑えても、繰り返されるとたまらない」というコメントにも見られるように、ポジティブなジョークであってもわずらわしく感じられる可能性があるということです。(文:夢野響子)
(参照)Should bosses be funny? (HR Grapevine)
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