蜷川幸雄演出の舞台『元禄港歌 ―千年の恋の森―』が、2016年1月7日から東京・渋谷のBunkamuraシアターコクーン、2月6日から大阪・シアターBRAVA!で上演される。
1980年に初演された同作は、元禄時代の大商店・筑前屋を舞台にした作品。三味線を弾きながら各地を転々とする盲目の女芸人たち、瞽女の「母親」として生きる糸栄の秘密や、自分の出自に疑問を持ち、糸栄こそが自分の本当の母親だと確信していく筑前屋の長男・信助と、瞽女の娘・初音の恋を描く。
糸栄を演じるのは市川猿之助。共演者には瞽女の娘・初音役の宮沢りえ、信助役の段田安則をはじめ、信助の弟で筑前屋の放蕩息子・万次郎役の高橋一生、初音の妹で万次郎と恋人関係にある歌春役の鈴木杏らが名を連ねている。
同作の作家は、蜷川演出の舞台『近松心中物語』の台本も担当した秋元松代。音楽はマルシアの“ふりむけばヨコハマ”、森進一の“おふくろさん”などの作曲家・猪俣公章が手掛け、劇中歌には美空ひばりの楽曲が使用されている。
■蜷川幸雄のコメント
初演で苦労をしたこの作品を再演できるのはとても嬉しい出来事です。
りえちゃんがいて、段田さんがいて、良い俳優たちとの仕事はこれ以上ないほどの喜びでもあります。そして、この仕事で猿之助さんとご一緒できるとは思っていませんでした。とっても嬉しいです。猿之助さん、楽しみにしています!
■市川猿之助のコメント
憧れの作品の上演、また、蜷川さんがお元気なこと、何より嬉しく思っております。
徳三郎さん、紫先生、そして、美空ひばりさんへの想いを胸に、務めさせて頂きます。
■宮沢りえのコメント
又もや、大きなハードルを与えて頂いた恐怖と興奮に満ちています。蜷川さんからの愛ある檄をガソリンに走り切りたいと思います。そして素敵な共演者の方達との出会いに感謝です。
■高橋一生のコメント
『から騒ぎ』(08年)以来、久々に蜷川さんの演出を受けさせて頂きます。戯曲の中にある、人間の業や哀しさといった、人であるが故の≪心≫が生み出す状景を前に、今回頂いた万次郎役を通して自分がどう作品と向き合い芝居をしていくのか。それが今から楽しみです。
■鈴木杏のコメント
蜷川さんをはじめ、スタッフの方々、そして素晴らしい共演者の方々と同じ現場に居ることができる、最高のチャンスに興奮しています。三味線など、課題は想像以上にたくさんあると思いますが、一つ一つしっかりと向き合って、愛らしい歌春になっていきたいです。
■段田安則のコメント
言葉も含め非常に美しい上方の世界が描かれていて、上方出身としては嬉しい作品です。信助という役は平幹二朗さんが演じられてきましたので、僕で良いのか…という不安はありますが、猿之助さんと久々の共演、しかも、母子という間柄の共演をとても楽しみにしています。やはり良いものは良い、と思わせてくれる、無条件に演劇を観る喜びに溢れた作品だと思いますので、馴染みのない方にも是非観て頂きたいですね。