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森川葵、『監獄学園─プリズンスクール─』で見せる暴力的な演技はなぜ魅力的なのか?

2015年11月11日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『監獄学園-プリズンスクール-』公式サイト

 過激なエロス描写が多いことから、実写化不可能と言われていたTBSドラマ『監獄学園─プリズンスクール─』。共学化されたばかりの元女子高・私立八光学園に入学した5名の男子生徒が、入学早々に女子風呂を覗いた罪によって、校内にある監獄(懲罰棟)へと投獄され、そこから労働や体罰を強いられる受刑者のような学園生活が始まるという物語。そんな生活から抜け出そうとする男子生徒VS監獄を監視する組織・裏生徒会、お互いに知略と暴力をフル活用した攻防戦がコメディタッチで描かれる。


参考:『監獄学園-プリズンスクール-』のエロス描写が伝える、深夜番組スピリッツ


 今回ここで紹介する森川葵が演じるのは、普段はゆるふわ系なのに、キレると得意の空手を駆使して男子生徒をボコボコに打ちのめすという、可愛さとサディスティックな一面を持ち合わせたブロンド美女・緑川花。第2話では、共演の男性陣にハイキックを浴びせたり、主人公(中川大志)のズボンを無理やり脱がせるなどのえげつない行為に及んでいる。しかし、森川自身の小柄であどけなさが残るビジュアルと、緑川花の天真爛漫なキャラクターが合わさると、どんな酷い行為も中和してしまい、結果として「この娘になら酷いことをされてもいい!」といった類の心境になってしまう。思い起こしてみると、暴力的だけど可愛らしく魅力的な女性キャラクターは、これまで多くのドラマや映画に登場してきた。たとえば、映画『愛のむきだし』の満島ひかりや、ドラマ『みんな!エスパーだよ!』の夏帆など、みんなその外見とは似つかわしくない暴力で、男たちの心と身体をノックアウトしてきた。彼女たちと同じような魅力を、森川に感じている男性は少なくないはずだ。


 彼女が個性的な役を演じているのは今回だけではない。過去の出演作をみると、『乾き。』では薬漬けの女子高生役、『おんなのこきらい』では拒食症を患う性格最悪な美人OL役など、一癖も二癖もある役柄を演じている。そして、そんなキャラクターにあわせて髪型がころころと変わるところも彼女の特徴のひとつ。髪色から長さまで、本人だと気付けないくらいガラッと変わることからカメレオン女優とも言われている。身近に感じられる愛嬌がありながらも、透明感のあるイノセンスな雰囲気をあわせ持つ森川だからこそ、個性の強い髪型も似合ってしまうのだろう。


 元セブンティーンの専属モデルということもあり、人の目を惹きつける容姿に注目されがちなのだが、もちろん役者としても高評価を受けており、実力派若手女優として名前が挙がることも少なくない。過去のインタビューでは、「“森川葵”でいくんじゃなくていろいろな“人”になれる女優になりたい」(参考:MANTANWEB『森川葵:話題の注目女優 主演映画で髪バッサリも「坊主にできて、ラッキー」』)と発言している森川。そこからは、”演じるのではなく、役そのものになりきる”といった、女優としての芯がしっかりと定まっているような印象を受ける。そんな役者気質が備わっているからこそ、役柄やビジュアルにとらわれない演技ができるのだろう。


 本日(11月10日)放送される第3話以降、ますます男子生徒と裏生徒会の戦いが盛り上がっていくことが予想される。原作の際どい描写がどこまで表現されるのかは未知数だが、今後の展開によっては森川葵の新境地がみられかもしれない。(泉夏音)