11月4日に厚生労働省が発表した「雇用の構造に関する実態調査」で、非正社員の割合が4割に達したことが大きな話題となった。非正社員を雇用する理由のトップは、調査が始まった1994年から一貫して「人件費の節約」(38.8%)だが、年々比率が上がっているのが「高齢者の再雇用対策」だ。
数値が把握できる1999年の調査では、「高齢者の再雇用対策」を理由にあげた事業所は10.3%。これが2003年には14.2%、2007年には18.9%となり、2010年には22.9%と2割を突破。2014年には26.6%と非正規の4分の1を超え、この15年間で16ポイントも増えている。
2015年問題を乗り切り、嘱託社員は「65歳超え」へ?
また、定年を迎えた社員を再雇用する「嘱託社員」が非正社員に占める割合は、非正社員の項目に初めて加わった2003年は4.3%だったが、2014年は6.7%に増えた。これらを合わせて考えると、定年退職を迎えた正社員を嘱託で再雇用する会社が増えたことが、非正社員増加の一因となっている可能性もある。
この部分だけを取り出せば、非正社員の増加は雇用の不安定な労働者が増えただけでなく、年金受給開始年齢の引き上げに伴い、従来の「正社員」の延長線上にある恩恵を維持した人が増えたと考えた方がよさそうだ。
なお、他の世代よりも圧倒的に人数の多い団塊の世代(1947~49生まれ)が60歳の定年を迎え始めることで大量退職と人手不足が危惧されたのが2007年だったが、さらにこの世代がすべて65歳以上となるのが2015年となる。
したがって「嘱託化」による非正規の増加は今年がピークということになるが、「今後正社員以外の労働者比率が上昇する」と回答した事業所は、比率が上昇しそうな就業形態として「パートタイム労働者」(62.1%)に次いで「嘱託社員(再雇用者)」(27.3%)をあげている。65歳を超えて働く嘱託社員は、今後さらに増えるかもしれない。
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