阿部サダヲの主演映画『殿、利息でござる!』の追加キャストが発表された。
今回出演が明らかになったのは、吉岡宿の住人が集う煮売り屋の女将で、阿部サダヲ演じる主人公・穀田屋十三郎が想いを寄せる未亡人・とき役の竹内結子、十三郎ら庶民の「殿に金を貸す」という申し出を拒否する冷酷無比な藩の役人・萱場杢役の松田龍平。竹内は同作で時代劇映画初出演、松田は2006年の『長州ファイブ』以来、約10年ぶりの時代劇映画出演となる。
さらに年老いて生まれた子を愛する遠藤幾右衛門役の寺脇康文、十三郎と妻夫木聡演じる浅野屋甚内の叔父・穀田屋十兵衛役のきたろう、武士に憧れる百姓・千坂仲内役の千葉雄大、十三郎と甚内の両親役の山崎努、草笛光子をはじめ、橋本一郎、中本賢、西村雅彦といった全10人の新たなキャストが明らかになった。また阿部、妻夫木、町一番の知恵者を自称する菅原屋篤平治役の瑛太を含むキャスト13人のビジュアルも公開されている。
中村義洋監督は原作や原作のもとになった実話にも登場しないキャラクターであるときを演じる竹内について「ほとんどアテ書きです。書いてる途中で、おや? もしや? と思って軽くウィキペディアでプロフィールを調べたら、竹内さんに時代劇の経験がない、というのも大きかったです。ああ、結子さんの日本髪を一度でいいから拝んでみたい、という思いも重要な決め手の一つであったことは否めません」とコメント。
松田については「現場では、冷淡に見えるよう脚本に『薄く笑う』などと書いておいたのですが、そういうのを龍平くんは全然やってくれず(笑)、なのに僕の想像をはるかに超える、ゾッとするまでの冷淡さを見せてくれて、これはもう本当に、最高の誉め言葉として、得体が知れない俳優になったなあと、舌を巻かせて頂きました」と賛辞を送っている。
磯田道史による評伝集『無私の日本人』の一編『穀田屋十三郎』をもとにした『殿、利息でござる!』は、江戸中期の仙台藩吉岡宿を舞台にした作品。実在の人物である穀田屋十三郎ら9人の庶民が、年貢の取り立てや労役で困窮する宿場町を守るため、藩に金を貸して毎年の利子を住民に配る「宿場救済計画」に奔走する様が描かれる。
■竹内結子のコメント
時代劇映画初ということでメイク、衣装、美術、セットなど全てが新鮮で和やかさと良い緊張感をもって撮影に臨むことが出来たと感じています。
この作品は、町を救いたい一心で、人のために尽くす庶民たちのお話なのですが、何でも誰かに言いたがり拡めたがりの時代に、報われたい欲を捨て敢えて「つつしむ」ことを選んだ人々の、その心の在り方がとても美しいと私は思います。
そんな人たちを近くで見ていたトキとしては、慎み深い皆さんに代わり、是非、多くの方にこのことを知ってもらいたいと願っております。