2015年11月09日 10:41 弁護士ドットコム
大阪市のテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」の運営会社が11月から、インターネットなどで不正に転売されたチケットをすべて無効にする方針を打ち出した。転売目的での買い占めや、転売行為によるチケット価格の高騰を防ぐ狙いだ。
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USJは、オークションへのチケットの出品を見つけた場合、「各都道府県の迷惑防止条例等に基づき、警察当局に通報することがある」などとと警告している。
しかし、USJの方針発表後も、オークションサイトでは、多数のUSJチケットが出品される状況が続いている。USJが警告するように、チケットを転売する行為は犯罪にあたるのだろうか。刑事事件に詳しい伊藤諭弁護士に聞いた。
「チケット類の転売を禁止する法令として、各都道府県が制定する迷惑防止条例があります。たとえば、大阪府においては、転売目的で入場券等を『公衆に対して発売する場所(チケット売り場など)』で購入したり、『公共の場所(テーマパーク付近など)』で一般の人から購入したり、転売したりすることを禁止しています。
しかし、ネットオークションを『公共の場所』と解釈するのは困難です。また現実には、オークションなどでチケットを購入した人が、そのチケットを使って入園することは事実上できていることから、法令で取り締まることは困難でした。
ただ、多数のチケットを出品するといった悪質なケースでは『転売目的で購入した』と判断され、摘発されることはあり得ます」
販売元が転売を禁止したということは、今後、転売市場に変化をもたらすだろうか。
「はい。今回、USJは転売を禁止するだけでなく、転売されたチケットを無効とする規約を作りました。この結果、使用できないチケットであることを知りながら他人に転売した人は、購入者に対して詐欺罪が成立する可能性が出てくることとなりました。
また、本当は転売目的なのに、自分が入園するかのように装ってチケットを購入する行為も、施設側に対する詐欺罪が成立する可能性があります」
伊藤弁護士はこのように話していた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
伊藤 諭(いとう・さとし)弁護士
1976年生。2002年、弁護士登録。横浜弁護士会所属(川崎支部)。中小企業に関する法律相談、交通事故、倒産事件、離婚・相続等の家事事件、高齢者の財産管理(成年後見など)、刑事事件などを手がける。趣味はマラソン。
事務所名:市役所通り法律事務所
事務所URL:http://www.s-dori-law.com/