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スーパーフォーミュラ:W男泣き鈴鹿。石浦初戴冠で涙、山本も涙の復活V

2015年11月08日 18:41  AUTOSPORT web

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新チャンピオンに輝いた石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)
全日本選手権スーパーフォーミュラ第7戦JAF鈴鹿グランプリは8日、27周の決勝レース2が行われ、山本尚貴(TEAM無限)がポール・トゥ・ウインで今季初勝利を挙げた。チャンピオンシップ争いでは、石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)が4位フィニッシュを果たし、シリーズ参戦6年目にして悲願の初戴冠を果たした。

 午前中の決勝レース1を終えて、チャンピオン争いは石浦と中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM’S)のふたりに完全に絞られることとなった2015年シーズンのスーパーフォーミュラ。レース1で2位に入った石浦が、一貴を7.5ポイント引き離し、レース2では入賞しさえすれば戴冠決定と優位な状況で最後の戦いを迎えた。

 レース1に引き続き、このレース2も降雨の中ウエットコンディションで展開。ただし、セーフティカースタートとなったレース1とは異なり、レース2はスタンディングスタートとなった。フォーメーションラップを終え、気温15度、路面温度17度という状況のもと各車整列。レッドシグナルが4つまで点灯していったが、5番グリッドにつける小林可夢偉(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)のフロントブレーキ付近から出火があり、レースは15分ディレイに。15時15分から再スタートが切られることになったが、この原因となった可夢偉は最後尾からのスタートとなってしまった。

 これにより27周となった決勝レース2。波乱含みで再び迎えたスタートでは、2番手のアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM’S)が出遅れた一方、4番グリッドの一貴が好発進を見せ、同じく好スタートを決めたポールシッター山本のイン側に並んで1コーナーに向かっていく。ただ、ホールショットは山本が奪い、首位をキープしてレースを進めていった。

 2番手には一貴、3番手に野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)と続き、ジョアオ-パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL)、ロッテラー、そして石浦は6番手につけていく。

 首位の山本は、周回を追うごとにリードを拡大し、10周目には2番手の一貴に5秒の差をつける。一方、3番グリッドからスタートし、3番手をキープしていた野尻は、6周目にオリベイラに先行されて4番手となると、その後10周目にはシケインで姿勢を乱してコースアウト。トラブルがあったかそのままスローダウン状態でピットへ向かってしまうこととなった。

 またその翌周には、4番手走行中のレース1ウイナーでもあるロッテラーが200Rでスローダウンし、コース脇にストップ。これにより石浦は4番手に浮上した。その後、上位は動きのない展開が続いていくが、5番手まで順位を上げてきた中山雄一(KCMG)と6番手の平川亮(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)が16周目あたりから数周に接近戦を繰り広げてる。このバトルは、21周目に平川が5番手に浮上して決着となった。

 首位の山本は、最後までライバルを寄せ付けずにトップチェッカー。13年最終戦以来となるキャリア2勝目を挙げ、シーズン最終戦にして“復活”を果たしたホンダのエースは「レースは本当に不思議。辛いこともありますが、こういうレースがあるからこそやめられないですし、また次も頑張ろうと思いますね」と歓喜の涙に濡れた。またこの優勝は、ホンダ陣営にとっても珠玉の今季初勝利となった。続いて2位には一貴が入り、オリベイラが3位表彰台を獲得している。

 そして、ランキング首位の石浦が4位でチェッカー。これにより石浦は、シリーズ参戦6年目、シートを失っていた時期も含めるとデビューから8年目にして初のタイトルを獲得。マシンを降りた石浦は、涙も見せながら次のようにコメントし、初戴冠の喜びにひたった。

「前を追いかけたり、後ろから追いつかれればそちらに集中できるのですが、ひとりになると集中力を保つのも大変でした。それでも落ち着いていられましたし、チームからも無線が入り『そのままでいいよ』と言われ、すごく気が楽になりましたね。プレッシャーはありましたが安定した決勝になりましたし、チームの雰囲気も明るくリラックスできたので、すごく助けられたと思っています」

 5位には平川、6位に中山が続き、ジェームス・ロシター(KONDO RACING)との接触もあった小暮卓史(DRAGO CORSE)が7位に。8位に国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)が並び、最後尾スタートとなったものの怒涛の追い上げを魅せた可夢偉が9位フィニッシュを果たしている。