トップへ

千葉雄大が語る、“クリーミー系俳優”の本音「自分のイメージは観る人との関係性の中にある」

2015年11月08日 08:01  リアルサウンド

リアルサウンド

千葉雄大

 小説投稿サイト「E★エブリスタ」で発表され、女子中高生を中心に大人気となっているみゆの小説『通学』シリーズを映画化した『通学シリーズ 通学電車』が、11月7日より公開されている。同作は、千葉雄大演じるハルと松井愛莉演じるユウナの非日常的な恋を描いた恋愛ファンタジーで、11月21日より公開される『通学シリーズ 通学途中』と連作となっている。ユウナが毎朝の通学電車で想いを寄せる“ハル”と、ある日突然ユウナの部屋に現れた“ハル”、同一人物でありながら異なる性格をもったヒーローを演じ分け、甘く切ない恋愛物語にトキメキを与えた千葉雄大に、本作について話を聞いた。


参考:ネクストブレイク筆頭株か? 『俺物語!!』ヒロインに抜擢された16歳=永野芽郁の魅力


■「茶目っ気のある役柄だったので、できるだけハメを外してみました」


ーー今作は、小説投稿サイト『E★エブリスタ』で人気を博したみゆさんの「通学」シリーズが原作となっています。千葉さん自身は同シリーズをご存知でしたか?


千葉:はい、今回の『通学電車』ではないんですけど、同じシリーズの文庫本の表紙に起用していただいたことがあったので。高校生の青春恋愛映画は色々とあると思いますが、今作はちょっとファンタジーの要素が入っているのが、変わったアプローチで面白いですよね。僕が演じているハルは、ある日、幽体離脱をして、彼に片想いをしているユウナの家に現れるんですけれど、こういう不思議なストーリーは、女性ならではの感性なのかはわからないけれど、自分では思いつかないかな。もし好きなひとが部屋に来たら……みたいな空想から生まれた物語なのかなって思いました。


ーー千葉さん演じるハルは、松井愛莉さん演じるユウナの部屋にいるときと現実世界では、少し性格が違っていますよね。その辺の演じ分けはどのように意識していましたか。


千葉:たしかにハルには二面性があって、ユウナの部屋では明るくて純粋な面が強いですが、現実では少し尖っていて世間から壁を作ってしまうような面があります。でも、同一人物ではあるので、ちゃんと通じる部分は残しておきたかった。だから、演じ分けたというよりも、ユウナの家にいるときに、いかに純粋な面を出せるかを意識した感じです。すごく茶目っ気のある役柄だったので、できるだけハメを外して、楽しく演じてみました。一方で、現実のクールなハルも、本当は純粋なんだけれど、色々な事情に巻き込まれて心を閉ざしているだけなので、ただ単に冷たいだけのひとにはならないように気をつけたつもりです。


ーーユウナの部屋にふたりでいるときは、キュンキュンするシーンがたくさんありましたね。


千葉:でも、僕がなにかを仕掛けて、ユウナをキュンキュンさせようと意識していたわけではないです。ハルはいわゆる二枚目キャラというより、どちらかというとひょうきんなタイプなので、割とナチュラルに振る舞うようにしていました。そもそもユウナがハルに片思いしているという設定なので、あの距離感なら普通に過ごしているだけでも、自然とそういう風に映るんじゃないかな、と思います。


ーーぬいぐるみを取り合いっこするシーンなんて、キュン死する女子が続出しちゃうんじゃないですか?


千葉:それはわからないですけれど(笑)、でもあのシーンは僕も彼女も自然な反応が出ていると思います。ああいう演出は、台本にしっかり書いてある訳じゃなくて、監督から「松井さんの新鮮な反応を撮りたいから、アドリブで自由にやって」って指示されていたんです。だから、テストのときや段取りのときには、どう動くかは特に決めていなくて。本番で思いついたことをやって、それに彼女が応えるという撮り方をしました。


ーー松井さんには、共演してどんなイメージを持ちましたか。


千葉:いっしょにお芝居をするのは初めてだったんですけど、すごく笑顔が可愛くて、素敵な女の子でした。でも、いざ演技に入ると、誠実さや意思の強さを感じさせる面もあって、そこも魅力的でしたね。柔らかい面ももちろんあるけれど、それだけじゃない。実際、松井さんが号泣するシーンがあるのですが、その涙にはちゃんと説得力があって、役者としてすごいな、と感じました。


ーーキスシーンもありましたね。どうでしたか?


千葉:どうでしたかって聞かれても(照笑)。う~ん、でも電車が通っている駅のホームだったので、何回もやり直したんですけど……。


ーー何回もやり直した?


千葉:いやいや、そこまで何十回というわけではないです! でもまぁ、一発OKではなかったですね。でも、高校生の恋愛の話なので、そんな“大人の感じ”ではないですよ。僕もテクニックとかはないので、ピュアなキスシーンになっているんじゃないかな(笑)。


ーーかなり甘酸っぱいシーンですよね。テクニックはないと言いつつも、多くの方は千葉さんに心を奪われると思います。


千葉:でも、映画やドラマでは、相手の頭をポンポンしたりとか、ちょっと体を引き寄せたりとか、そういうシーンもありますけれど、それを日常生活でできるかというと、ちょっと難しいですよね(笑)。逆に映画やドラマだからこそ、そういうことも照れずにできるのかもしれない。


ーーなるほど。ちなみに最近はドラマ『オトナ女子』にも出演されていますが、そこでは年上の女性との恋愛を演じていますよね。相手が年下と年上では、アプローチの仕方は変わってきますか?


千葉:実際に聞いてみないとわからないけれど、年上の人が年下の人を好きになるのって、「可愛いな」って思って好きになるのか、 それとも「年下だけど意外としっかりしているな」って思って好きになるのか、どちらかなんじゃないかと思います。『オトナ女子』の場合だと12歳差なので、僕はいま26歳だから、38歳の人にアプローチするということでしょ? もし実際にそうなったら、たぶん僕はできるだけ大人っぽく振る舞おうとするかな。それを好意的に捉えてもらえるかどうかはわからないけれど。でも、相手が自分より年上か年下かというより、気持ちが通じるかどうかのほうが大事だと思うし、仲が良くなったらあまり関係ないような気もします。


■「いただいた役をいかに一生懸命やって、積み重ねていくかが大事」


ーー千葉さんは現在26歳で、俳優としても順調にキャリアを築いてきていると思いますが、いまも“可愛い男の子”というイメージが強いことについては、どう捉えていますか?


千葉:もちろん、そういうイメージを求められることはありますけれど、実はあんまり可愛い役をやっているっていう自覚はないんですよね。だから、そういう風に言われることに抵抗もないし、歳を重ねたら言われなくなることでもあると思うので、いまのうちかなって。


ーークリーミー系とか、天使系とも言われていますよね。


千葉:たぶん、クリーミーなときもあるんでしょうね(笑)。でも、僕に対するそういう言葉って、言い方が違うだけで、たぶん同じ意味だと思います。「なんとなく、ふわっとしている」くらいのニュアンスで。たしかに感情の起伏は激しいほうではなくて、いつも一定の温度ではあると思います。ずっと保温状態みたいな。ただ、僕だってもちろんそうじゃないときもあって、やさぐれているときもあるし、怒るときもあるし、ぼんやりして何もしないときもある。そういう色々な面があるのがひとりの人間で、その切り取り方によって見え方は変わってくるんじゃないかな。だから、今回のハルを演じるときも、同じ人物であるという意識を持っていれば、割とどんな面を見せても、キャラクターとしての説得力はあるんじゃないかなって思っていました。実際、続編の『通学途中』でも、同じハル役として登場しますが、そのときは少しお兄さん的な立ち回りをしています。人間は誰しも多面性を持っていて、関係性の中で立ち振る舞いが変わるのが自然で、僕のパブリックイメージも、観る人との関係性の中で定まっていったのかな、と考えています。


ーーでは、自ら「こういうイメージになりたい」という理想像のようなものはありますか?


千葉:自分の中ではあまり具体的なイメージは掲げないようにしています。そこにこだわると、もしうまく行かなかったときに落ち込みそうだし、作りあげたイメージを維持し続けるのは大変ですから。それよりも、いただいた役をいかに一生懸命やって、積み重ねていくかが大事だと考えています。とにかく続けていくことがいまの目標ですね。


ーー目の前のことにしっかり向き合っていく、という考え方ですね。ちなみに普段はどんな映画を観ていますか?


千葉:観るのが多いのは、家族とか友達とか、仕事をテーマにしたヒューマンドラマが多いかな。あと、単館系もけっこう好き。自分自身はあまり熱くなるタイプではないですけれど、映画ではそういうのも好んで観ていて、松本大洋さん原作で、松田龍平さんが主演を務めていた『青い春』はすごく感銘を受けました。洋画だと、パッと思いつくところでは『ダンサー・イン・ザ・ダーク』が衝撃的でしたね。ビョークさんの大ファンなんですよ。


ーーけっこう渋い趣味ですね。千葉さんは音楽もかなりお好きだとか。


千葉:はい、中学3年生の頃に、地元の宮城県で開催されている『ARABAKI ROCK FEST.』に行ったのがきっかけで音楽の魅力に目覚めて、それから毎年行くようになりました。高校生の頃はバイトもしていなかったので、毎月もらえるお小遣いで新しいCDを買うのが何よりも楽しみでしたね。上京してからは、『ROCK IN JAPAN』とか『SUMMER SONIC』にも行くようになりました。ロックが特に好きで、ASIAN KUNG-FU GENERATIONとか、エレファントカシマシとか、浅井健一さんのライブにも行っていました。高校生のときに浅井健一さんのライブに行ったときは、お客さんが革ジャンとかをビシッと着ていたのに憧れて、そういうロック系のファッションに目覚めたこともありました。最近では、個人的に親交があることもあり、the telephonesやストレイテナーのライブなどにも行っています。休みの日は、タイミングが合えばライブに足を運ぶことが多いですね。


ーーリアルサウンドの読者は音楽ファンが多いので、きっと千葉さんに親近感を抱くと思います。では最後に、本作をどんな風に観てもらいたいかを教えてください。


千葉:映画って、現実では起こり得ないようなことが描かれるもので、この『通学電車』もファンタジックな恋愛映画となっていると思います。恋愛映画に限らず、映画は“夢を見る”ものでもあると思うので、そうしたひと時を楽しんでもらえたら嬉しいです。(リアルサウンド編集部)