文部科学省が6月に実施した全国の小中学校・特別支援学校の「問題行動調査」は、7月に岩手県で中学生がいじめを苦に自殺したのを機に、初のやり直し調査となった。「小さな兆候も見逃さない」との趣旨で行った再調査の結果は10月27日に公表されたが、いじめ認知件数はやり直し前の3倍近くに増えたという。
しかし、再調査のいじめ認知の中には「授業で答えを間違った子どもを冷やかした」など微妙なものもあり、どこからを「いじめ」とするのか線引きが難しいとする声もある。いじめは、周囲が何をしたかということよりも、本人が何にどのくらい不快感を抱いたかどうかによるところが大きいからだ。(文:みゆくらけん)
「根本が全然違う。イジってる方にも愛がある」(竹山)
たとえば、上記の「冷やかし」がいじめとなるかどうかも、それをどう受け取ったかという本人の心の問題だ。冷やかされて辛い、恥ずかしいと感じる生徒もいれば、冷やかして場を和ませてもらった方が嬉しいと感じる生徒もいるだろう。
これはバラエティ番組などでみられる、いわゆる「芸人イジリ」にも通じるところがあることから、イジリが子どもたちのいじめを助長していると指摘する声もある。しかしこれに対し、芸人たちからは反論も出ている。
例えば「いじられてキレる」パターンが定着しているカンニング竹山は、10月27日の「5時に夢中!」で、学校のいじめと芸人のイジリについて「根本が全然違う」として、次のような反論をしている。
「(芸人のイジリには)イジってる方にも愛がある。イジられたやつがもしそこでスベった時には、イジってる方はもう一個振ってあげて、おいしくする。そこまで考えてイジるんです。学校でやる時には、ただ一方的に言うだけでしょ?」
そのうえで「みんなテレビというものをド正面から見過ぎている」と嘆き、「いいかげんな大人たちが、テレビというハコの中で遊んでいるだけ。一個一個、答えを求めようとしなくていい。頭おかしいやつが、いっぱいテレビに出てるんだから」として、視聴者のクレームが的外れだと不満げである。
「仕事を終えた芸人らの仲の良い姿まで放送すべき」(品川)
その一方で、テレビは子どもたちにもう少し配慮してもいいのでは、というのが品川庄司の品川祐の考えだ。11月1日の「ワイドナショー」でウーマンラッシュアワー村本が語ったエピソードによると、品川は「体を張って笑いを取る過酷なロケの後の、仕事を終えた芸人らの仲の良い姿までカメラに収めるべき」と考えているのだという。
ローションでヌルヌルの滑り台を滑らされ、転んだり叫んだり苦痛に悶える顔を見せて笑いを誘うのが芸人の仕事。しかしそこで終わってしまっては、真正面からテレビを見ている子どもたちのいじめを助長しかねない。その後、芸人らが仲良く入浴し、お互いを労わり合っている姿まで放送することを提案しているという。
品川のこの考えに対し、「そうやね。(全部見せないのは)もったいないよな」と共感を見せていた松本人志だが、「そんなこともあって」最近(10月18日)ツイッターにこんなつぶやきを書き込んだそうだ。
「お笑い芸人は妖精。。。はなから笑う気のない人には見えないのだ」
ちなみにこれは、あくまで芸人の影響によるいじめを危惧して書き込んだわけだが、この書き込みを見た人から、ウケなかった際の負け惜しみや保険と見なされ、「スベったのをごまかすな」と言われたという。
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