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嵐、“原点回帰”して目指すものは? 最新アルバム『Japonism』の「よいとこ盤」で鮮明になったコンセプト

2015年11月07日 08:01  リアルサウンド

リアルサウンド

 10月21日に発売した嵐の最新アルバム『Japonism』が、11月9日付オリコン週間アルバムランキングで累積87.7万枚を記録し、2週連続1位を獲得した。2週連続の首位獲得は『LOVE』(2013年)以来2作ぶりで、『All the BEST! 1999-2009』(2009年)、『僕の見ている風景』(2010年)とあわせて通算4作目となる。


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 今作は、嵐のアルバムとしては初の3形態でリリースされた。多様な購入者のニーズに合わせた展開が、売上枚数をのばしたひとつの要因でもあるのかもしれない。


 まず、「初回限定盤」は、CDとDVDでの展開。84ページにわたる歌詞フォト・ブックレットを封入し、DVDにはアルバムのリードトラック「心の空」(ビデオ・クリップ+メイキング)を収録。音楽とともに、嵐のビジュアルやパフォーマンスを楽しみたいというファン向けの内容となっている。


 「通常盤」は、CD2枚組での展開。ディスク2には、NHK『第61回紅白歌合戦』(2010年)で披露されて以来、ファンの間でCD化が望まれていた「ふるさと」をはじめ、全4曲のボーナストラックを収録しており、本編のディスク1とあわせると全20曲を1作品で楽しむことができる。嵐の楽曲を存分に堪能できる内容といえるだろう。


 ここで注目すべきは、「よいとこ盤」だ。こちらもCD2枚組での展開だが、ディスク2の内容が趣向を凝らしたものとなっている。先日『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)出演時にバク転を披露したことで話題となった、少年隊「日本よいとこ摩訶不思議」のカバー曲と、メンバーによるラジオ風トークを楽しむことができるオリジナル・トーク・トラック「アラジャポ・トーク」といったオリジナルコンテンツ2本が収録されており、まさに『Japonism』に対する嵐からのメッセージが込められた内容となっているのだ。


 「日本よいとこ摩訶不思議」のカバーは、軽快なブラスサウンドと電子音が組み合わさった80年代色の強いサウンドで、少年隊のデビュー曲「仮面舞踏会」(1985年)カップリング曲としてリリースされたオリジナル・バージョンとほぼ変わらないアレンジだ。そこに、昔話をモチーフにしたラップと和楽器のサウンドを加えることで、嵐らしさや『Japonism』らしさを表現した一曲に仕上がっている。


 「アラジャポ・トーク」は、「日本よいとこ摩訶不思議」に関するエピソードや『Japonism』収録曲の解説を約50分にわたり収録。そこでは、「『日本』を改めて自分たちの目で見て、自分たちを、『ジャニーズ』ということも含めて振り返ってみよう」というコンセプトでアルバムを制作したことや、その中でたどり着いた楽曲が、ジャニーズの先輩、そして原点ともいえる存在である少年隊の「日本よいとこ摩訶不思議」(作詞・作曲:野村義男)だったというエピソードを明かしている。嵐は『Japonism』のリリースをとおして、日本、そしてジャニーズを振り返り、それぞれの「よいとこ」を改めて見出すことを目指したのではないだろうか。


 昨年デビュー15周年を迎え、さまざまな活動を行ってきた嵐。今回の“原点回帰”を経て、彼らにどのような変化が起こるのだろうか。(竹上尋子)