大手総合商社は11月5日、第2四半期決算を発表した。通期純利益の見通しについて、三菱商事は従来の3600億円から3000億円に減額したが、伊藤忠商事は3300億円で据え置き。同日放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)は、このニュースを興奮気味に報じた。
「三菱商事の業界トップの座を脅かす企業が出てきました」
「業界の勢力図が変わるかもしれません」
株価も一時逆転したが「恣意的な報道」の声も
三菱商事は、事業の柱である原油や石炭など資源価格が下落。内野州馬CFOは会見で、中国経済の減速などを原因にあげ、「商品市況(資源価格)が想定を超えて低迷し早期の回復が見込めない」と説明した。
対照的に伊藤忠商事は、住宅やアパレルなど資源以外の分野が好業績をけん引。上半期として過去最高益を達成した。鉢村剛CFOは「来年、再来年の持続的な成長をできるよう確信を持って進めたい」と述べた。
もしこの見通しが実現すれば、伊藤忠商事が初めて三菱商事を上回りトップになる。明暗が分かれた両者の会見直後、三菱商事の株価は下落し、一時は2000円を割り込む勢いで推移。逆に伊藤忠商事は2200円台に急上昇し、推移グラフはX文字を描いた。
世界を舞台にするグローバル企業は大海に浮かぶ船のようなもので、三菱商事は世界情勢の影響をまともに食らってしまった。とはいえ仮にトップ争いに敗れたとしても赤字になるわけではなく、大きな収益を上げていることには変わりはない。
ネットには、三菱商事が特別損失でマイナスを出すタイミングで、伊藤忠が特別利益と税効果で純利益がかさ上げされただけであり、「恣意的な報道」と冷ややかに見る声も。翌6日の株価は数日前と同様の数字に落ち着き、三菱商事の株価が伊藤忠商事を上回っている。(ライター:okei)