「シアトルに行ったら是非ここにも足を延ばして!」なる投票があると、よく挙げられているのが“ガムの壁(Gum Wall)”。全米で最も古い市場としてワシントン州の歴史保存地区にも指定されている『パイク・プレイス・マーケット(Pike Place Market)』の中にあり、即興劇が行われる「Market Theater」という劇場の壁面である。
だがこのたび、その歴史に幕が下ろされることになった。劇場の閉館ではなく、約100万というガムを壁から剥がし去るという。同マーケットの保存と復興のために組織された「Pike Place Market Preservation and Development Authority」は、歴史的建造物が不潔なもので覆われている状態を何とかしなければという理由を一番に挙げたが、健康のために良くない化学合成物、砂糖といった添加物がたっぷりのガムは、おそらくレンガにとっても良くないとも。また現在ガムの重量について緻密な計算を行っているが、壁にはかなりの負荷がかかっていると考えられるそうだ。
その作業にあたるメンテナンス業者「Cascadian Building Maintenance」のケリー・フォスターさんは、『シアトル・タイムズ』紙に「爆発的なパワーを発揮する工業用スチームクリーナーを使用することになりますが、こんな珍しい不思議な作業を請け負ったのはこれが初めてです」などと説明している。作業は今月10日に始まり、3~4日間を予定しているそうだ。