トップへ

なぜ『オトナ女子』に共感できないのか? 同世代ライターが分析

2015年11月05日 11:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『オトナ女子』公式サイトより

 10月15日(木)からスタートした新ドラマ『オトナ女子』は、篠原涼子、吉瀬美智子、鈴木砂羽がキャスティングされ、40歳の独身女性を主人公とした恋愛ラブストーリーとして放送前から注目されていた。しかし、蓋をあけてみれば初回放送の平均視聴率は、9.9%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)、以後、第2話が9.2%、第3話が7.2%と振るわない。ターゲットとされた「オトナ女子」からの反応もいまひとつだ。ドラマに描かれる『オトナ女子』と、実際の「オトナ女子」のギャップとは何なのかを分析した。


参考:『オトナ女子』で教師役に挑む千葉雄大 “年下男子”ポジションの行方は?


 ここで「オトナ女子」の価値観を示すアンケートを紹介したい。


 求人情報サイトエンウィメンズワークは、女性利用者1055人を対象に「自分磨き」をテーマにしたアンケートを行った。その結果、「自分磨きのためにしていること」として、20歳代は「ネイル、ボディ、ヘアのお手入れ」、30歳代は「ファッション」、40歳代以上は「身体によい食生活を心がける」が第1位となった。また、「自分磨きの目的」に「自分に自信を持つ」が1位、「人間としての成長」が2位となった。ここで注目したいのは、40代以上の結果として1位と2位の差異が世代間で1番少なく、年代を重ねるにつれて「仕事でのスキルアップ」「転職活動」を占める割合が増えていることだ。この結果から、現実の「オトナ女子」の価値観は外見より内面重視の傾向が強いことがわかる。(参考:女性の自分磨き、年齢とともに「外見」から「内面」へ)


 ドラマ「オトナ女子」は、篠原涼子演ずる恋愛アプリを開発する部署で働くキャリアウーマン主人公・中原亜紀、独身、40歳である。ロングヘアーに胸元が大きく開いた色気漂うファッションを好む。女性だらけの職場で部下には「アラフォー独身キャリアウーマン」と好奇の目でみられ、一定の距離をおかれている。プライベートでは斎藤工演ずる売れない年下ミュージシャン・山岡伸治と同棲し、尽くしたあげく、彼のメジャーデビューが決まると同時に二股をかけられていた事実が発覚し、破局してしまう。そんな亜紀の心のよりどころはペットのネコと同い歳の女友達だ。高校時代からの友人吉瀬美智子演ずるフラワーショップのオーナーの大崎萠子、鈴木砂羽演ずるバツイチで3人の子持ちの坂田みどりはSNSで近況を報告しあい、頻繁に女子会を開く仲だ。ストーリーは、この“アゲマンだけど自分は幸せになれない”独身、40歳女性を中心に展開していく。


 放送にあたって「オトナ女子」世代として注目していたのは、40歳女性のリアリティがどう描かれていくのかということだった。しかし、主人公・中原亜紀のロングヘアを書き上げる仕草や、胸元やうなじを強調したわかりやすぎる色気、20代のようなテンション高めの恋バナ、ダメンズに入れ込んだ挙句、浮気され、ショックで雨に打たれて街を彷徨うなどの乙女度満点な話の展開はまさに、「2015年のトレンディドラマ」、「恋愛アプリ」そのものという印象を持った。よって主人公が40歳女性でなくても展開できてしまうストーリーという印象を持たれてしまったのが内面重視な「オトナ女子」の共感を得にくくしてしまった原因ではないかと分析する。


 一方、「恋愛」という軸で展開していくドラマだからこそ、今後、イマドキの40歳の女性たちが、オトナと乙女のはざまで揺れる微妙な描写を期待したいところだ。


 11月5日放送の第4話では、篠原涼子演ずる中原亜紀と平山浩行演ずる編集者・池田優、吉瀬美智子演ずる大崎萠子と谷原章介演ずる亜紀の会社の社長・栗田純一、鈴木砂羽演ずる坂田みどりと千葉雄大演ずる・息子の担任教師沢田健太の恋愛が一気に動きだす。このなかで徐々に亜紀の気のおけない存在になりつつある江口洋介演ずる脚本家・高山文夫が、亜紀に対してどう心境を変化させるのかが、見所のひとつだ。


 「オトナ女子」たちが繰り広げていくラブストーリーは、大人の女性たちを納得させる展開を迎えることができるのか。(内藤裕子)